第245回【子親編】「ジェンダーフリーで育てたいのに…」

さいたま商工会議所運営の地域情報サイト「マイタウンさいたま」エッセイコーナーに連載中のQ&A「分かってるつもり? 男と女の胸の内」を1回遅れで掲載しています。

浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が、実際に研究所を訪れたクライアントさんの相談の中から「男と女の問題」に絞り、プライバシーに配慮して構成した事実に基づくフィクションで、「職場編」「恋愛編」「夫婦編」「親子編」「子親編」の5つの話題を提供しています。

今回は子親(舅・姑)問題のQ&A。

第245回【子親編】「ジェンダーフリーで育てたいのに…」

【Q】
結婚して10年、8歳の息子と6歳の娘がいます。結婚するときから夫の両親との同居が既定路線だったので、義父が70歳になったのを機に同居しました。私も夫もフルタイムで働いているので、私達が帰宅するまでは義母が子どもたちを見てくれています。もちろん両親には感謝しているんですけれど、困ることも少なくないんです。特にジェンダーの問題。義母も女が働くことには反対じゃないんです。でも「男らしさ」「女らしさ」は大事と思っているみたいで、8歳の息子に「男の子は泣かないの!」とか「しっかり勉強していい大学、いい会社に入るのよ」とやっちゃうし、6歳の娘には「女の子なんだからそんなに乱暴なことはしないの!」「いいお嫁さんになるのよ」とやるんです。現代社会で信じられないような言葉なんですけど、義母はそう教えるのがいい子育てと思ってるわけですよ。義母と過ごす時間が長いので、影響は避けられないし、義母のおかげで私も仕事ができていることもあるので、強く言えなくて、どうしたらいいかとても困っています。

【A】
「正しさ」が時代によって変わるのは過去の時代の「正しさ」を「間違っていた」と考えた人がいたからです。今、あなたは義母に子どもたちを見てもらえているので、夫婦共フルタイムで働けています。困ったことに義母は、昔ながらの「男らしさ」「女らしさ」を大事に思っていて、まったくステレオタイプの「らしさ」を孫に教えています。「男の子は泣かないの!」「女の子なんだから乱暴なことはしないの!」という義母の言葉は、この手の人がよく使うフレーズです。

そして、もっと困ったことには実は私たちの心というか身体にこの「らしさ」が染み込んでいて、「私はそんなことは言わない」と思っている人でも、女の赤ちゃんにはフリフリのついたピンクのもの、男の赤ちゃんにはフリフリのついていない青系のものを選びますよね。「私はジェンダーフリー!」と思っている人でさえ、せいぜい頑張って「白」か「黄色」止まり。色もピンクは「可愛い」、青は「りりしい、知的」という思い込みがあったりします。自分ではそれはジェンダーだとわかっていても、周りを気にして合わせている人もいるかもしれませんが。

子どもたちに与える絵本もこうした思い込みから「白雪姫」や「シンデレラ」「人魚姫」などなどは女の子に、男の子には「ピノキオ」や「機動戦士ガンダム」。そしてそれらは益々、女の子には「女の子らしさ」男の子には「男の子らしさ」を植え付けて、幼い心に「将来こうあるべき」「こうあらねばならない」という思いをふくらませてしまいます。これは、幼児教育の分野で顕著ですが、小中高と進んでも、この「らしさ」は無言で教え続けられます。男らしさと女らしさは「差別」ではなくて「区別」だという人がいますが、それは進化の過程で洞くつ生活をしていたころの話です。

さて義母に「男の子は~」「女の子は~」と言うのはやめてほしいと強く言うのは難しいとのことですから、まずあなたたち夫婦がその「らしさ」から自由になっている同居生活を義父母に示してください。「あなたの両親ではなく夫の両親との同居が既定路線」だったことが、まさにジェンダーギャップの表れだと思いますが、状況からしてそれを変えることは不可能だと思いますので、あなた方夫婦の関係を少しずつご両親に見せることから始めましょう。もちろんあなた方夫婦の関係がジェンダーフリーであり、夫婦関係に満足していることが大前提ですが…。

ページ上部へ