さいたま商工会議所運営の地域情報サイト「マイタウンさいたま」エッセイコーナーに連載中のQ&A「分かってるつもり? 男と女の胸の内」を1回遅れで掲載しています。
浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が、実際に研究所を訪れたクライアントさんの相談の中から「男と女の問題」に絞り、プライバシーに配慮して構成した事実に基づくフィクションで、「職場編」「恋愛編」「夫婦編」「親子編」「子親編」の5つの話題を提供しています。
今回は恋愛問題のQ&A。
第247回【恋愛編】「女を武器に使った恋愛はダメ?」
【Q】
彼との出会いは居酒屋でした。女友達3人で入った居酒屋に彼は男友達3人で来ていたんです。彼を見た瞬間「いい男じゃん!」って思いました。友達2人も同じだったみたいで、向こうから誘われるように、3人でそれとなく流し目を送って誘われることに成功しました。それから6人で飲みに行くようになったんですけど、私も友達も狙っているのは彼です。何とか彼の気を引こうと2人より短めのスカート、胸を強調させるようなトップスを着て会うようにしたんです。しばらくすると彼が私を意識し始めたのが分かりました。そして私が見ごと彼をゲット。それから2年です。仲はいい方だと思います。ところが最近、結婚を意識するようになったら、「本当に彼でいいの?」って思うんです。私は彼のどこが好きなんだかよく分からないし、おそらく彼も私のどこが好きなんだか分からないんだろうと思います。出会ったときに男としての彼にひかれ、彼には女としての私にひかれるようにアプローチして…。でも今考えると、「男」とか「女」とかいうものに惹かれるんじゃダメで、長い人生を考えたとき、「人としての彼」、「人としての私」に惹かれないとダメなんじゃないかと思うようになりました。男性と付き合うときに「女」を武器に使って付き合いだした男性とはどこかで破綻しちゃいますよね。
【A】
「居酒屋」で狙った彼を「女を武器」に見事ゲット。「あるある」のシナリオで、もしこのまま結婚したら、その結果も「あるあるの破綻?」。あなたはよくぞそれに気づきました。あなたは、ご相談になる前にちゃんと正しい答えが出ています。『「男」とか「女」とかいうものに惹かれるんじゃダメ」「人としての彼」「人としての私」に惹かれないとダメじゃないか』って。
まったくその通りです。あなたの場合、「女の武器」も身体勝負の直球で、ライバルより「短いスカートを履く」「胸を強調させるようなトップスを着る」など、まるで人間以外の動物が繁殖期にやるような雄を誘うやり方のようです。もう少しひねった「女の武器」には①都合が悪くなったり、困ったことに直面するとグズグズ泣いてみせる「女の涙」作戦、②手作りの料理とかクッキー、ケーキなどを持っていく「胃袋をつかめ」作戦、③さりげなく腕や肩などに触る「ボディタッチ」作戦、④何かと彼に頼ってみたり、猫なで声を出したりする「甘え上手」作戦など、様々ありますが、ともすると「あざといやつ」と思われ、距離を置かれてしまうこともあります。それに比べ、あなたのとった「足や胸を見せる性欲作戦」は単刀直入。彼は「雄としてそれに引っかかった」とあなたは思っているようですが、それでも2年も仲のいい交際が続いているとのこと。居酒屋で出会って、彼は最初、あなたの「チラリズム」に一生懸命さを感じて恋が実ったのかもしれませんが、もし本当にあなたの「女の武器」にだけ惹かれたのなら、2年は続かないでしょう。「人としての彼」「人としての私」ってなんだろうと考え始めた今から、「人としての魅力」を作ってください。もしかすると彼にも同じ気持ちが芽生え始めているかもしれません。
発達心理学で、青年期の発達段階に欠かせないものに「モラトリアム期間」があります。元は「猶予期間」という法的用語ですが、「ヒト」が「人」になるためには、社会人となり、責任ある立場になるまでに「自分とは何か?」「どこへ行こうとしているのか?」をしっかり考える期間が必要だと言われています。この恋愛をきっかけに、遅れてやってきた「モラトリアム期間」だと捉え、自他共に成長されることを願っています。