男と女のQ&A【恋愛編】「私ってセックス依存?」

【Q】
高校の時からけっこうな数の男性と付き合ったんですけど、いつも長続きしないんです。長く付き合いたいって気持ちはあります。でも、正直言って「“ねる”と冷めちゃう」っていうか…。周りを見るとみんな真面目で、1人の男性と付き合って、ずいぶん長く続いてるなあって思うとちゃんと結婚して子どももできたりしてるんですよ。でも、私の場合、付き合うってことになるまで私の方が必死にアピールして“ねる”ところまでは行くんです。ところが2、3回“ねる”と気持ちが冷めちゃって。前の男と比較して“こいつ下手!”って思ってしらけちゃうこともあるし、うまいんだけど、やたらしつこくて“もうイヤ!”ってなっちゃうこともあるし…。セックスだけがすべてって思ってるわけじゃないんですけど、じゃあどういう男がいいかっていうとよく分からなくて、結局「うまいか下手か」が基準になってしまってるし、だから長続きしないし…。セックス依存ですかねえ?今年28歳になって普通の恋愛がしたいって思うんですけどどうしたらいんでしょうか。
 
【A】
「依存」(アデクション)というのは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられなくなる状態のことを指します。人が依存する対象は色々ありますが、①物質への依存、②行為やプロセスへの依存、③人間関係への依存の3つに分けられます。①は、アルコール、たばこ、薬物などへの依存、②はギャンブル、買い物、盗み(万引き)などへの依存です。あなたが心配している「セックス依存」もこの分類に入ります。③は恋人、家族、男性、女性などへの依存で、共依存やDV、ストーカー行為に及ぶなどもこれに当たります。これらの3つは単独で現れることもありますが、他の依存と重なって併発しやすい傾向があります。あなたも恋愛関係を長続きさせようと思うのですがセックスを数回すると冷めてしまって次の相手を求めてしまうようで、依存の状態が重なっています(クロスアデクション)。
 
あなたが次々と恋人を替えるのは、人間関係への依存で、その人にしがみつくことで自分の不安を解消しようとして、性の関係を持ち、性の行為やプロセスの中で一時的な刺激や快楽を求めてそれを繰り返しています。
「依存」で困るのは、何かの不安を解消しようとしているのにもかかわらず、逆に生活のリズムが崩れ、体調や心の状態がどんどん不安定になることです。どの依存にも共通するのは、より強い刺激を求めて、やめようとしてもやめられなくなり、いつもそのことが頭から離れないなどの特徴です。
 
28歳のあなたが「普通の恋愛がしたい」と言っているので、改善が必要な状態だとご自身で気づいています。こうした依存的な状態は、もっとひどくなると自分の意志ではやめられない「コントロール障害」と言う病的なものになっていしまいます。今の状態はまだ「依存症」という病気にまでは至っていないと思われますので、なぜ今の状態になっているのかを考え、普通の恋愛ができるよう努力しましょう。
 
依存の初期には、不安や緊張を和らげたり、嫌なことを忘れたりするために、ある特定の行為をするわけですが、それを繰り返しているうちに脳の回路が変化して自分の意志ではやめられない「依存症」と言われる状態になっていきます。ドーパミンという快楽物質の放出を報酬、ご褒美と感じる脳の仕組みです。こうなってしまうと意志の弱さや性格の問題ではないので、自分を責めたり恥ずかしがったりせず「何かに強く我慢をしてストレスフルになっていることはなかったか」「今も我慢を続けていないか」などの点検をしてみてください。
 
その「元になっているストレス」を軽くしながら、自らの「やめたい」という気持ちを大切にして、「性のやり方の上手・下手」という基準で相手を判断するのでなく、「性」の関係も2人で作っていくように、「人間性」や「価値観」に目を向けて相手とお付き合いしてみましょう。
それでもひどくなっていくようなら、今回のように専門の機関で治療を受けるなり、カウンセリングを受けるなりしてください。
第242回

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