【Q】彼とは付き合い始めて2年になります。はじめは週1か2で、食事やレジャー施設が出かけていたんですけど、半年くらい経ったころからお互いの家で過ごすことが多くなりました。テレビで宝くじのCMが何度も流れて、「買ってみよう」ということになり、冗談半分で買ったんです。最初は10枚、次は20枚、あっという間に100枚になりました。50枚買った時に1万円当たったことがキッカケになり、宝くじだけでなく、totoやBIGも買うようになったんです。彼は、サッカーが好きなので試合を見てるだけよりスリルもあって楽しさが増すみたいです。5千円とか1万円とか、上限を決めてやれれば遊びで済むんですけど、「損した分を取り返す」とか「オレの予想は絶対」みたいなことを言って、20万円くらい買っちゃうこともあるんです。コンビニとかスマホで買えちゃうのものめり込む要因になってるみたいです。彼は「競馬、競輪、競艇はギャンブルだけど、宝くじとかスポーツくじはギャンブルじゃない。政府だって後押ししてるだろ」と言います。くじだって立派なギャンブルですよね。お金がなくて出かけることが少なくなったのに、これじゃあ、あちこち出かけていた時の方がよほどお金がかかりませんでした。
【A】宝くじは身近な街作りにも収益金が使われていたり、発売元の全国都道府県と20の指定都市へ納められた収益金は少子高齢化対策、防災対策、公園整備、教育や社会施設の建設改修などに使われています。ですから私たちは至る所で「この××は宝くじの収益金から××」といった文字を無意識に自分の中に取り込んでいます。
テレビのCMでも多く流れていますし、スマホを開くと「夢が、はじまる」「キャリーオーバー発生中!」など、簡単に大金が手に入るというイメージで、射幸心を煽る広告を頻繁に目にすることになります。国や地方自治体が「公共の福祉に役立っている」「働かず大金が手に入る」というイメージを国民に強く植え付けているため、「くじ」がギャンブルであるという認識は薄められています。 ギャンブルとは、「結果が偶然に左右されるゲームや競技等に対して金銭をかける行為」のことをいうので、競馬、競輪、競艇はもちろん、スポーツくじや宝くじもギャンブルの1つです。競馬、競輪、競艇は、様々なデータを処理することで、ギャンブル性を薄めることもできますが、「くじ」にはそういった要素がないため、むしろギャンブル性が高いと言えるかもしれません。
2022年3月に国会でカジノを合法化しました。賭博は違法ではあるものの、一定の規制のもと、ホテルやショッピングセンターを併設したカジノリゾート開発への道が開かれました。
さて、スポーツくじや宝くじ、公営競技(競馬、競輪、競艇)、パチンコの類は、法律で認められているので賭博罪の対象とはなりませんが、特にスポーツくじや宝くじは少額からできること、スマホを使ってゲーム感覚でできることなど若年層でも手がけやすく、依存に陥っている若者が増えていることが問題になってきています。 あなたのおっしゃる通り「上限を決めてやれば遊び」の範囲と考えられますが、自分の気持ちをコントロールできなくなり、頻度や金額がどんどん増えても止めよとしない彼は、「ギャンブル依存」状態と言えますね。
完全に依存症と判断されるような場合は、自分の力で抜け出すことは難しいので、専門家に相談するのが最善です。もし、ギャンブルを断つという決心をしても、結局断つことができず、何度も繰り返してしまうような場合は、迷わず専門家を訪ねるよう周囲が促しましょう。
あなたと彼の関係ですが、まず彼と話をしてみてください。話をしてもやめられない場合は、あなたも気持ちを切り替えて、別れることをお勧めします。
参考までに、去年のジャンボ宝くじの当選確率のデータを示しておくと、1等7億円は22本で、全体の2千万分の1、0.00000005%。3等100万円は880本で、50万分の1、0.000002%です。
第277回