男と女のQ&A【職場編】「夫婦別姓は当然と思う私って変?」

【Q】
半年ほど前に結婚しました。今の会社に勤めて10年。
社内だけでなく取引先の皆さんにも名前を憶えてもらっているし、今さら新しい名刺を作って名前を覚え直してもらうほどの意義を感じないし…。
だいたい、なんで女だけが結婚したり離婚したりする度に姓を変えなきゃいけないのかまったく理解できません。社内にもいるんです。
結婚したっていうことをあんまりみんなに言わない人だったんですけど、社内の書類書いたりするんで「えっ、結婚?!」みたいになって、そのうち元に戻って、また変わって…。
私はそれがとっても嫌だったんで、結婚してもそのままの姓で呼んでって言ったら、みんなそうしてくれてはいるんだけど、陰ではいろいろ言われてるみたいなんです。「結婚したのになんで変えないの?結婚したら普通変えるでしょ!」みたいな…
 
【A】
夫の氏を名乗るということとは若干違いますが、9月23日に時事ドットコムが「夫婦同姓の規定を改めない日本に対する国際世論は厳しさを増している。
国連の女性差別撤廃委員会は法改正を繰り返し勧告。別姓も選択できる制度を採用する国が増え、同姓を強制する国はほとんどないのが現状だ。」と報道しました。
国連は1979年、男女平等を目的に女性差別撤廃条約を採択して、締約国からの報告に基づいて実施状況を検討する女性差別撤廃委員会を設置しました。日本も85年に締結するにはしたんですが、委員会から2003年と09年に、民法が定める夫婦同姓、女性の再婚禁止期間、男女の婚姻最低年齢の違いを「差別的な規定」とされ、法改正するよう勧告を受けましたが、未だ日本は勧告に従っていません。世界の中で、リーダーシップを取ろうとしている安倍内閣にしては情けない話です。
 
「女性が活躍できる社会」を移民受け入れよりも先との発言もあったようですが、実際には民法に手を付ける気配すらないのが現状です。ただし、東京などの男女5人が計600万円の国家賠償を求めて起こした夫婦別姓訴訟では、一審・東京地裁は「夫婦別姓は憲法で保障された権利とは言えない」として請求を棄却、二審・東京高裁も維持のに対し、11月4日に最高裁大法廷が弁論を開くことになりました。大法廷が弁論を開く場合には、高裁判決を覆す場合が多いことから、違憲判決が出る可能性があります。
 
さて、どちらの氏かの問題に話を戻すと民法(750条)は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定しているのですが、実際は95パーセント以上の夫婦が夫の氏を名乗っています。あなたが感じる通り改姓をする女性側には生活上、精神上さまざまな不利益が生じます。夫婦同姓の強制は「氏名は社会的にはある個人を特定する記号であるが、個人にとっては自己の人格を象徴するものである」ことを侵害しかねません。
また「家名」「家を継ぐ」とする意識が根強くあり、「氏」が戸籍の編成単位とされる男系優位の「家制度」の名残とも見られます。女性が男性の姓に改姓するとしばらくは自分が自分でなくなったような違和感が生じたり、夫と妻の間の不平等感、自分の社会的実績が一時途だえた感、夫の家に吸収される感じ、あなたがおっしゃるように結婚、離婚、再婚などのプライバシーが否応なくわかってしまうことにもつながります。その上改姓につきものの手続きのわずらわしさ等々の問題点もあります。
 
1996年に法制審議会で5年にわたって夫婦別姓制度を含む民法改正案が審議され法務大臣に答申されましたが「家族の一体感が損なわれる」といったような議論が噴出したため法改正は進まず、現在でも別姓を例外措置としています。あなたのように考える方が多くなっている現在名字が違う夫婦や親子は一体感親密感が持てないのかどうか、そろそろもう一度考えてみる時ですよね。名前を「家」のものと考える発想は一人ひとりの個人より「家」とか「国家」の方を大切に考える考え方に通じるような気がします。もう時代は、「家」と「家」の抗争や結びつきを大切にしたロミオとジュリエットの時代ではないのですから家と家の抗争にまつわる悲恋や悲劇は終わりにしたいものですね。
 
かく言う私も女2人の姉妹のため最初の結婚では長男である夫の姓を名乗るのか、私の家名を絶やさぬよう私の姓を名乗るかで親や親せきが大もめにもめ、結局は私の姓を名乗ることになりました。
しかも、両親と養子縁組までしてです。そのことが結婚生活の中で「男性でしかも長男に名前を変えてもらった」「変えてやった」という思いをお互いが引きずることになり、夫婦関係がうまくいかない一因ともなりました。男性の方が姓を変えた場合は、「婿養子?」なんて聞くことも多いかと思いますが、どちらの姓を名乗ってもいいわけですから、民法上は「養子」とは無関係なんですけどね。
現在私は、再婚して私の姓を名乗っています。すると同窓会名簿などで私を見た人から「大関さんて結婚しなかったんだね」と誤解されたりもしています。
 
「結婚したら普通変えるでしょ!」と言われて居心地悪いでしょうが、そう遠くない時期に夫婦別姓が認められて、堂々とご自身の姓を名乗れる時代が来ることを期待しましょう。
その時には、姓を変えている人が「変」になっているかもしれません。
第81回

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