【Q】
先日、妻から突然「別れたい」と言われました。
妻とは結婚して25年になります。お互いの友達の紹介で知り合い、1年ほどお付き合いをしたところで、私からプロポーズして結婚しました。
二人の子どもたちも結婚はまだですが、成人して一人で生活するようになりました。
そろそろ退職後を見据えて二人でどういう人生を送ろうかと考えている矢先だったので、私には状況がよく飲み込めません。私は仲のいい夫婦だと思っていたので、妻も私と同じ気持ちだとばかり思っていました。妻には「あなたと結婚したのは友達が次々結婚していく中で、自分だけが取り残されるという危機感からだった。愛情がなかったとまでは言わないけれど、子どもたちも成人したし、これからは自分らしい人生を送りたい」と言われました。私としては、何が何だか全く分からず、どう対処していいのか見当もつきません。
【A】
「思い込み」って怖いですね。
夫であるあなたは「仲のいい夫婦だ」と思いその上「妻も私と同じ気持ちだ」とばかり思っていたんですものね。ところが現実は全く違ってあなたと結婚した理由も「友達が次々結婚していく中で自分が取り残される危機感」からだったし「子どもたちが成人したら自分らしい人生を送りたい」と妻はその日の来るのを一日千秋の思いで待っていたわけです。
あなたは妻から「別れたい」と言われた時さぞかしびっくりしたことでしょう。
だからそれを「突然」のように思い「何が何だか全く分からず、どう対処していいのか見当もつかない」という状態に陥ったわけですよね。よくある思いですね。
下のお子さんが成人したわけですから少なくとも20年ちょっと、奥さんの気持ちは全くわからなかったということです。奥さんもよく我慢したものです。1年365日×20年。
1日1日、夫の言動に「イヤ、違う」「そう言ってもらいたいんじゃない!」「いえ、そうしてもらいたいんじゃない!」と心の中でつぶやいたり、時には叫んだりしながら、それでも何も言わずに日々を送り、時をやり過ごした。「どうせ夫は私の言うことを聞くような人じゃない」「どうせ私の気持ちをわかろうなんて努力してくれるわけがない」「子どもの前でお互い大声をあげてののしりあえば子どもの成長にとっていいわけがない」。
働いたお金を持ってきてくれなければ子どもは育てていけないし、私は手に職もないし、まあ子どもが成人するまではこのまんま、まあ同居人という感じでがまんしていたということなんでしょうが、あなたは夢にも思わなかったわけでしょ?そしてついにその日がやって来て「別れたい」と離婚を切り出された。
手遅れのようですが、あなたが気づかなかったのは奥さんが不満をちっとも言ってくれなかった、たとえそれが「どうせ言ったって怒るだけ」というあなたの態度にしても、夫婦の関係は2人で作っていくものなのですから、大急ぎで「ごめんなさい。あなたの気持ちにちっとも気づいて上げられなかった、と平謝りに謝って、何で言わないんだよという思いは飲み込み、「これからはあなたの気持ちを理解して、あなたがどう生きたいか、それに添って自分も生きるようにする」と心を込めて話してみてください。奥さんもあなたが心を込めてお詫びとお願いをすれば心が動くかもしれません。
お詫びやお願いをめんどうと思うようだと、奥さんの気持ちは動かないかもしれませんね。
お子さんの恋愛や結婚、孫の誕生などこれからまだ両親の出番や二人の喜びはあるはずです。
第83回