【Q】
中学3年生の息子と中学1年生の娘がいます。
娘は、どちらかと言えば小柄な方で、初潮も6年生でやっと。クラスの中でも遅い方でした。
体つきも女らしくなるどころか、まだまだ子どもで、最近やっと少し胸が大きくなってきたところです。
そうは言っても、半年ほど前からブラジャーを付けさせました。身体の発達と気持ちの発達って同時進行なんでしょうか、娘は性に対してもまだまだ無頓着で、下着類もその辺に放っぽりっぱなしで、全然隠そうともしません。
そういう状況の中で、息子の方はここ1年で急に成長し、体つきも大人っぽくなりました。
それに合わせてというか、最近私たちの目を盗んでリビングルームにおいてあるパソコンでアダルトサイトを見ているみたいなんです。どうもこそこそしているので、履歴を見たら思った通り、アダルトサイトの履歴が残っていました。そんな息子のこともあるので、娘の下着が見えるところにあるときは、私が慌てて片付けてます。兄妹は兄妹なんでしょうけれど、このままでいいのか心配で仕方がありません。
【A】
2人ともほぼ順調な発達段階の途中です。
娘さんが下着類をその辺に放りっぱなしなのは、今に始まったことではないのに、「月経があったり胸が少し大きくなったりしているのにそれらの下着類を無頓着にしている」、そしてそれが「性に興味を持ち始めた息子に変な刺激になるのでは?」と心配していらっしゃる。
娘さんと息子さんを合わせて心配するのはあなたの「性」に対する思い込みがあるように思います。
2人のお子さんへの心配は分けて考えましょう。
あなたの思い込みの1つは、男性は誰のものであれ女性の下着に興味と関心を抱くものと思っているところです。少年たちの中には、時には姉妹や母親の下着をタンスの引き出しから出して触ってみたという経験を持つ子たちもいますが、それはごくまれなケースです。
あったとしてもほんの一度とか、ほんの一瞬とかで、大多数の少年たちは本能的に家族血縁は性の対象から避けて成長していきます。
動物としてのも本能で、遺伝子レベルで血縁同士の結びつきが健康な子孫を残しづらいことを分かっている人間は、強い子孫を残すために自分とは遺伝子レベルで遠い関係の相手を求めるようになっていると言われています。ですから、息子さんに刺激になるから娘さんの下着を親が慌てて片付けるのではなく、娘さんには自分のものは自分で片付けるさせる習慣を付けさせてください。もちろん下着だけでなくです。
2つ目の思い込み、女性は月経が始まったりブラジャーを付けるようになったら、性と関わるものは隠すべき、という偏見です。月経用品はブラジャーは隠すのが大人の女の振る舞いというあなたの思い込みは、お子さんたちに「性は隠微で恥ずべきもの」という感覚を植え付けてしまいます。
娘さんには「女の子でしょ、片付けなさい!隠しなさい!」という叱り方は絶対にしないでください。「性」はもっとおおらかで健康で、男女共に生きる喜びの大きなものなのですから。
そしてパソコンでアダルトサイトをこっそり見ている息子さんは「悪いことをしている」と心配することが3つ目の思い込みです。昔は息子の部屋にアダルト雑誌が隠されているとかマスターベーションの形跡があるとかいうのが母親からの相談の定番でした。
それが、今ではパソコンで見ているというように変わってきました。元はと言えば大人が大人の男性をターゲットに売り出したもの。メディアがそれを商魂たくましく煽り、少年たちがそれに興味を持つのは当然。正常な発達段階にある思春期の少年をよくない方向の「性」に導いているのは大人なのです。それをただ叱って見せないようにするのは至難の業。
ネット上には、あなたの想像をはるかに超えた「性」の情報が氾濫しているのです。
むしろ、性にたどり着く前の愛とか友情とかを積極的に親子、兄妹、家族で語り合える雰囲気を親のあなたが工夫してみてください。
最大の思い込みは、あなたの「性」は恥ずかしいもの、隠すべきものという考えです。
もっとあなた自身が「性」を伸びやかに健康的なものと考えるように変わってください。
第84回