男と女のQ&A【職場編】「男に寄って行かない女は相手にされない」

【Q】
忘年会シーズン真っ只中。
私の勤める会社も、社全体の忘年会から始まって、各部、各課、同期の忘年会、そして最後はクリスマスも兼ねての友人たちとの忘年会と大忙しです。なんとなくみんな落ち着かない雰囲気かな…。
昔に比べるといきなり体を触られたりみたいなセクハラは減りました。
酔って絡んでくる上司はいるし、セクハラまがいのこともないわけじゃないですけど、我慢できないほどじゃないです。今、一番嫌なのは、忘年会の後の会社の雰囲気。
忘年会とか二次会で、男の上司とか同僚にべたべたする女子社員がいるんですけど、忘年会後はそういう女性に対する男性の態度が優しくなったり、親切になったり…。
私みたいに忘年会でべたべたしなかったりごまをすらなかった女性社員には対応が冷たくなるんです。男の方から手は出さないけど、男に寄って行かない女は相手にされない。これってひどくないですか。
結局、セクハラが巧妙になっただけですよね。
 
【A】
さすがに最近は「男は男らしく」「女は女らしく」しないと「嫁に行けない」「嫁にもらってもらえない」と言って子どもを戒める親はいなくなったものの、それでもこの「らしさ」は人の心の中ではしっかり根を張っています。昨日引退を発表した女子サッカーの澤穂希選手をはじめとしてチームのメンバーは奇跡的な勝利を日本の女子サッカー界にもたらしたとして皆の尊敬と感動を湧き起こしました。が、一昔前ならきっと「女らしくない」などと思う人もいたかもしれません。
ボーイッシュな体型や化粧っ気のない素顔、俊敏な判断力ときびきびとした動き。それらが重なってあの感動的な奇跡を起こしました。彼女らは一人ひとり毅然としていて、その上チームとしては佐々木監督のもと、澤選手を中心に力を合わせて戦っていました。
男性である佐々木監督も「一人ひとりの個性を大切にして、あまり監督である自分が出過ぎないようにしている」とうようなコメントをしたのを新聞で見たことがあります。
 
さて、彼女らが男性にべたべたしたり媚びを売ったりする図は想像できるでしょうか?決して彼女らは監督や男性ファンにごまをすったり媚びを売ったりはしないと思います。
むしろ、彼女らのそういう態度があれほどまでに素敵に魅力的に映るんです。
今まで男性的なスポーツと思われいたサッカー。昔の母親たちなら「足でボールを蹴るなんて!なんて女らしくないんでしょう」と嘆いたかもしれません。
さあ、今や世は「女性にだけ6ヶ月の再婚禁止期間があるのは違憲」(DNA鑑定でほぼ100%誰の子か分かる今としては「6ヶ月を100日に」というのはあまりにも時代遅れを感じますが)という判決が出たり、婚姻後の姓を別姓という選択が出来るよう国会で検討すべしという判決が出る時代になっています。
 
あなたの感覚は、まだまだ実際には世の中にはびこっている「女は男に媚びて可愛くあるべき」という「性役割」に違和感を覚えている素晴らしい感覚です。おっしゃるとおり、形を変えたセクハラですね。女性の水着のポスターを貼ってもセクハラとする法律は出来ても、まだまだ幼稚園や学校のほとんどが男女混合名簿ではなく男が先、女が後の男女別名簿、幼稚園や小学校の先生は圧倒的に女性が多いにもかかわらず、管理職の割合は逆に圧倒的に男性が多いという日常の中で育ってきた私たちは、この性役割から逃れていないのが実態です。
そして、これらを率先してなくす役割を果たすべき政治家も日本の場合男性がほとんど。しかも女性の議員の中にも差別的な性役割を容認するどころか、推し進めようとする人がいるほどです。
 
忘年会後のあなたに対する男性たちの冷たさには腹が立ちます。この性役割が続く限り男性は「男らしく」「馬車馬のごとく働いて妻子を養うべし」という文化の中で生き抜くことになります。男性にとっても楽ではない社会なはずなんですけどね…。きっと、男性の中には、あなたのように毅然とした女性に魅力を感じている人もいるはずですよ。
第86回

ページ上部へ