男と女のQ&A【職場編】「好意を持っていると勘違いされて…」

 
【Q】
「今年の新入社員はジャニーズ系の子多いよね」と女子社員の間では話題になっているんです。私も確かにそう思います。その男の子たちと何度か飲み会をしました。可愛い男の子をゲットしようっていうあからさまな態度の女子社員もいるんですけど、男の子たちにしても、まんざらでもないみたいで、何人かは付き合い始めています。私は彼氏もいるし、年下の男の子に興味ないんですけど、不覚にも飲み会の時に体調が悪かったのか酔いが回って、ほんの10分ほど1人の男の子にもたれかかってしまったんです。その男の子は、まだ女性経験が少ないらしく、たったそれだけのことで、私が好意を持っていると勘違いをしてしまいました。その後の彼の目線はそれまでと明らかに違うし、私の身体によく触るんです。後ろから「あのー」と肩に触れたり、私から何かを手渡しするとき、偶然触れてしまったみたいに手を触れたり… 
「その気はないから」っていうシグナルは送っているつもりなんですけど、いったん勘違いしちゃうとしつこくて… はっきり言おうかとも思ったんですが、私にも少しは落ち度があるし、うぶみたいなんで、今後、同じ会社で勤めていくのに、ひどく傷つけちゃったらどうしようと困っています。
 
【A】
「酔いが回って」という言い訳は無し!
日本のように「お酒の上で」に甘い国は世界中ないそうです。しかも「10分も1人の男の子にもたれかかった」んでしょ?!「たったそれだけのことで」ってあなた、そりゃ女性経験の少ない人でなくても好意を持っているって勘違いしますよ。
本当に勘違いなんですか?
1900年「夢判断」という本を著した精神分析医ジークムント・フロイトは「無意識の中にあるものは、形を変えて意識の中に現れる。それを調べると無意識を知ることができる」と言っています。そして心の底に隠されている無意識は次の3つの形に現れるのです。1つは「夢」、2つ目は「神経症」、すなわち「心の病」、3つ目が「日常生活における“間違い”“失敗”」です。まさにあなたが「間違って」彼に10分寄りかかってしまった「失敗だった」と言っているこの行為です。しかもアルコールで心の底、無意識のふたが開きやすくなっていました。
日常生活における間違い、失敗、しくじり、へまをひっくるめて、精神分析学では「失錯」とか「失錯行為」と呼んでいます。フロイトは「刑事が殺人事件を捜査するとき、犯人が自分の写真と住所を現場に残していくなどということを期待するだろうか。そうではなくて、犯人が知らずに残した微細な痕跡を手がかりにして犯人を捜すのではないだろうか。精神分析においても、特に些細な問題が大問題につながっているのだ」(鈴木晶著「フロイトの精神分析」)と言っています。
あなたは彼氏もいるし、年下の男の子に興味がないと言っていますが、「今年の新入社員はジャニーズ系の子多いよね」と女子社員が話題にし、「私も確かにそう思います」とも言っています。フロイト流に言えば、その時点で無意識にその男の子に好意を抱いていたことになります。「その後の彼の目線」、「身体によく触る」ことなど、「勘違い」しているのは彼ではなくあなたの方かもしれません。無意識にあなたが彼に好意を持ってしまったけれど、意識の世界で「彼氏がいるのにそれはまずいだろ」と考えているのだとしたら、「私にも落ち度があるし」とも思っているのですから、何もわざわざはっきり「その気がないから」と言って、恥をかくことになるのはやめておいてはいかがですか?
それより、これを機会に謙虚にご自身の無意識と向き合って、「年下の男の子と付き合っちゃう」なんていうのもありではないでしょうか。
第121回

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