男と女のQ&A【親子編】「娘がDVにあっている?」

【Q】
25歳の娘がいるんですが、最近様子が変なんです。大学在学中から付き合っていた彼氏がいて、もしかすると結婚なんていう話になるのかなあと思っていたんですが別れてしまったらしく、1年ほど前から帰宅も早くなり休日も家で過ごすことが多くなっていました。特に落ち込んだり、暗くなったりということもなかったので、そのうちまた彼氏でもできるだろうと思っていたんです。ところがここ数ヶ月、付き合い始めた男性がいるらしいんですけど、帰りが遅い日とか、出かけた休日とか、彼氏と一緒にいたらしい日ほど、帰宅した後、とても暗いんです。先日はカバンの取っ手が切れたとか言って、カバンを紙袋に入れて帰ってきたり、顎にあざみたいなものがあったりもしました。どうしたか訊いたんですが、「ちょっとぶつけた」と言うだけでちゃんと話そうとしません。今までの明るかった娘とは明らかに様子が違うので、もしかしてデートDVにあっているのでは?と心配しています。
 
【A】
娘さんは明らかにデートDVにあっています。
デートDVはとても深刻な問題です。なぜならば、暴力の被害者である娘さんは、暴力を受けているにもかかわらず、それを「愛情」と感じていて、恋人である彼から離れることができないからです。
このまま放っておくと娘さんの命にも危険が及びますので、娘さんによく話を聞いてください。これが面倒なことに、叩かれることを愛情だと勘違いしているわけですから、かなり抵抗するでしょうが、まずは娘さんを責めたり否定したりせず、話を聞いてあげてください。
 
「付き合っているならこれって当たり前」「それが出来ない私が悪いから叩かれる」「彼からの連絡には即レス」「彼と一緒にいるためなら友達との付き合いはやめるのが当たり前」「記念日には私が彼にプレゼントするのが当たり前」「彼が望むなら私が嫌な時でもHするのは当たり前」、どんなことを言われても従うのが当たり前と思っていながらも、心のどこかでは「当たり前かなあ?」と疑問にも思っているものです。「それってやっぱり変だよね」という気持ちに、本人が焦点を当てられるよう丁寧に話しかけてください。
 
恋人のいる女性のうち、44.5%がデートDVを経験しているという統計があります。若い女性のうち約半数が何らかの形でデートDVの被害者です。娘さんのようにあざができたり骨折したりする「身体的暴力」、日常生活を管理しようとしたり、それに抵抗すると家族や友達にも危害を加えると脅したりする「精神的暴力」、嫌がっていても性的関係を強要する「性的暴力」、お金を借りて返さない、物を買わせたりデート費用を出させたりする「経済的暴力」の4つがあります。
 
国連では、毎年11月25日を「女性に対する暴力撤廃国際日」としていて、11月12日から2週間、内閣府や関係省庁では「女性に対する暴力をなくす運動期間」として、紫(パープル)のリボンの配布などもしています。
 
娘さんとお二人で専門の相談窓口に行かれるのがいいのですが、彼と別れられないようでしたら、家族からの相談も受け付けてくれるので、DV相談ナビ 0570-0-55210 にお電話なさってください。(他に「女性の人権ホットライン」050-070-810)
もう一つ、娘さんが自分で選んだ恋人が次々暴力を振るう相手になるとしたら、生育歴の中で、両親、父が母に暴力を振るっているのを見たりした経験があるのかもしれません。よく考えて、そういうことがあったとしたら、しっかり謝罪してください。
第169回

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