男と女のQ&A【恋愛編】「彼との性行為は辛いだけ」

 
【Q】
月経が2週間遅れて、なんとなく胸も張ってきたような気がしたので、妊娠検査薬で調べたら陽性だったんです。初めての経験で目の前が真っ白になりました。産婦人科でも妊娠と言われました。まだ結婚は考えていなかったので、堕ろすしかないと思いましたけど、堕ろすにはお金もかかるし「妊娠した。あなたの子だよ」と彼にも話しました。私自身の責任とは思うんですけど、私一人の子どもじゃないわけだし…。彼の反応は「えっ?!」ていう感じで「産んで」でもなく「堕ろして」でもなく…。でも彼の態度からは産んでほしいというような感じを受けました。結局、彼にも納得してもらって堕ろしたんですけど、授かった命を奪ったっていう罪悪感ていうか、とても悲しい気持ちになって、妊娠が恐怖でしかなくなったんです。その後彼との性行為は、悲しい気持ちを思い出すので、辛いだけになってしまいました。
 
【A】
あなたはまだ混乱していて自分が何を相談したいのか整理できていませんね。初めての妊娠にどぎまぎし、相手の彼はハッキリ産んでとも堕ろしてとも言語化しなかったけれど、態度では産んでほしそうだった。それなのに、結婚を考えていないあなたは彼に納得させて堕ろした。そして「授かった命を奪った」罪悪感にさいなまれて悲しい気持ちになり、妊娠が恐怖でしかなくなった。その結果、彼との性行為は辛いだけになってしまった。
 
あなたが相談したいのは①初めての妊娠で目の前がまっ白になって「産んでほしそうな彼を無理やり納得させて堕ろしてしまったことか?②結婚を考えていなかった自分が妊娠してしまった不注意さか?③授かった命を奪った「罪悪感」なのか?④そのため新しい命を授かる喜ぶべき「妊娠」という出来事が恐怖にしか思えなくなったこと?なのか⑤彼との性行為が辛いだけになって困っているのか、だから彼と別れたいと悩んでいるのか?①~⑤のどこが中心の相談でしょうか?
 
勿論、この5つの悩み事は一連の出来事ではありますが、どこに焦点を当てるかで答えは大きく違ってきます。望まない出産を避けるために行われる人工妊娠中絶(堕胎)の歴史は古くは平安時代の「今昔物語集」の中にも薬草を煎じたり母体に衝撃を加える乱暴な方法が登場しています。刑法では「堕胎」は犯罪となっていますが、1948年に制定され1996年に「母体保護法」に改正された法律によって「経済条項」が拡大解釈され、他国に比べ規制は緩くなっています。あなたが主に悩んでいるのは授かった命を、この緩くなっている法律の流れで中絶してしまった罪悪感でしょうか?昔と違い中絶の手術が母体の命まで奪うことは少ないとはいえ、女性の心と身体に大きな負担と傷を残します。
 
妊娠という事実は当然相手の男性にもしっかり背負ってもらわなければなりません。ここの時点であなたは結婚を考えていなかったので堕ろすことを前提にして彼に「あなたの子だよ」と言っています。堕ろすためのお金が必要で言っています。そこでしっかり「僕たちの赤ちゃん産んでほしい、結婚しようよ!」と言えなかった彼にも問題がありますが、「中絶ありき」でそのお金のために「あなたの子だよ」と言ったあなたには「なぜ結婚を考えていなかったのか?」を踏み止まって考えてほしかった。性の遊びだったのなら今回のことでその行為が辛いものになっているのは仕方のないこと。この体験から学んでください。
第177回

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