男と女のQ&A【子親編】「同居の義母の今後をどうする…」

【Q】
結婚して、5年で両親と同居して、25年になります。その間、2人の子どもは独立、私の両親と義父は他界して、今は私と夫、義母の3人で暮らしています。義父は軽度の認知症を患っていましたが、手がかかるほどではなく、5年前、家で亡くなりました。義母は認知症はありませんが、膝と目が悪く、やや生活が不自由です。義父の介護は私と義母の2人だったので、負担は感じなかったのですが、義母は私がすべて面倒を見なければならないので、相当負担になると感じています。義母は、私に面倒を見られるのは嫌という気持ちもあるようで、「施設に入ろうかな」と言っているし、私も施設に入ってくれればと思っているんですけど、夫が「親父を家で看取ったんだからお袋だって家でいいだろ」と言うんです。私には「施設に」と言う義母も、息子に「家で」と言われると「家で死ねたらね」と、私に言うのとは全く違うことを言うんです。
 
【A】
女の一生は「アンペイドワーク」と呼ばれる「賃金が支払われない仕事」に始まり、それに終わると言われています。介護を受ける側も、する側も圧倒的に女性が多いという現実があります。嫁として、妻として、娘として介護を引き受ける人の7割以上が女性だという統計は、統計の残っていないころからそうだったのでしょう。
 
厚生労働省「H12 介護サービス世帯調査」によれば、主な介護者は女性が72.2%。そのうち娘が母を、または嫁が夫の母を介護する場合が42.9%。娘が父を、嫁が夫の父を、妻が夫を介護する場合が29.2%。主な介護者が男性という割合は19.5%で、男性が妻や実母を介護するのがそのうちの17.3%で、男性が自分の父親を介護する割合は、わずか2.2%です。「介護問題」は「女性問題」であると言われるゆえんです。
 
介護者の内訳を見ると「配偶者」「子」と並んで、「子の配偶者」つまりあなたのような立場の方が約3割、すなわち嫁が介護をするということです。娘が老親を引き取った場合は、自分で世話をしますが、息子は妻に介護を丸投げしているというのが、ずっと続いている実態です。
 
こうした状況の中で介護を担う女性たちの負担や不満は、単に肉体的なものだけではありません。無給の労働である家族介護では、女性は経済的に自立することが出来ず、その上、女性が他人の世話をするのは当たり前という考え方が根強くあるため、苦労は理解してもらえず、感謝すらしてもらえません。妻や女性の兄弟姉妹に親の介護を押しつけておいて、遺産相続や葬儀に関わる権利だけは主張する身勝手な男性も多いのです。
 
夫の母の介護については、まさにこの日本社会のゆがんだ家父長制的家族観と性別役割感そのものです。その上、夫は実母には「よい息子」ぶって、「家で」と言い、妻には「親父を家で看取ったんだからお袋だって家でいいだろ」と介護を押しつけてくる。あなたは「義父の介護は義母と2人だったが義母は私がすべて面倒を見なければならない」とおっしゃっていますから、息子である夫は手伝う気もなさそうです。このままではあなたの人生は介護人生で終わってしまいます。そしてあなた自身は息子の伴侶や娘がいるにしても、もう彼らに介護を頼める時代ではありません。夫としっかり話し合って、お義母さんに施設に入ってもらってください。
第195回

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