男と女のQ&A【職場編】「ワクチン接種は合コンのため?」

【Q】
職域接種が広がって、私の職場ももうちょっとで接種ができるかなというところまで来ました。久しぶりに明るい雰囲気になって、接種した後の話題で持ちきりです。旅行のこと、ずっとできなかった歓送迎会や忘年会、新年会、お花見…。そんな中でもやっぱり合コンが1番かな?みんなの話を聞いていると「ワクチン打てば合コンやれるよね」という人が多いように思います。気持ちはわからないじゃないですけど、ワクチン打つのは合コンやるためじゃなくて、「感染しない、させない、広げない」ために打つんだと思うんですよ。だから私は、そういう人たちには批判的な立場かな?アレルギー体質っていうこともあって、私はワクチンを打たないつもりなんです。でも、職場が合コン一色になっていく中、打たない私は当然仲間に入れませんよね。コロナ後はますます結婚相手探しに夢中になる人が多くなりそうなので、これからの人間関係に不安を感じています。
 
【A】
「職域接種、準備大詰め」「職域接種スタート ワクチンを職場などで打つ職域接種が始まった。政府は21日開始としていたが、準備が整った全日本空輸は13日から、日本航空や読売新聞社は14日から前倒しして始めた」(6/15朝日新聞)「ワクチン接種加速 首相“勝負した”五輪ありき」(6/18同)「職場、大学…方法が多様化 接種ペースを加速させるため、21日から本格的にスタートする大学や企業での接種 自治体が発行する接種券がなくても受けられる」(6/15同)など、このところ職域接種の記事が毎日紙面に踊っています。
 
そして接種を急ぐ政府には、何とか五輪を安心安全に行いたいという思いがありますし、大学では対面授業を1回もせず学生から訴えられる事例もあり、企業には何とか経済を円滑に回したいという強い思いが見えます。
 
一方で、あなたのようにアレルギー体質の人で「ワクチンは打たないつもり」という人の中には、まるで戦時中に兵役を拒否した非国民のように周囲から見られていると訴える人もいます。朝日新聞の川柳投稿欄に「接種拒否 兵役忌避という空気」というのがありました。また「酒提供は? じれる飲食店」「酒提供 自治体判断割れる 埼玉一人飲み 都は対策決めず」とありました。
 
ワクチンを打つ目的は、まったくあなたの言う通り「感染しない、させない、広げない」です。あなたのようにまっとうな考えの人に出会って、私は今、とても感動しています。本当なら、あなたの考えがまともで「飲んで合コン」なんてもっての外。そんな雰囲気になり、変異株による感染が広がり、医療現場が再び逼迫し、入院できる人を選別する命の選別が始まってしまうことが心配です。
 
政府は、「専門家の意見を聞いて」と言っていますが、尾身先生は、自分たちの意見を聞いてもらえていないという感じに受け取れるコメントを出していますよね。ワクチン接種の目的も、それぞれに急ぐ理由は違っていて「五輪決行のため」であったり、「経済を円滑に回すため」であったり、あなたが心配するような「合コンをするため」であったりと、本来の目的からずれています。
 
15日付けの新聞の中面に「職場でワクチン接種 考慮することは」という見出しで、最後に小さく「希望しない人に配慮した方式で」とあり、あなたのようにアレルギー体質で「目的が違う」と打たない人にも不利にならないようにと釘を刺しています。ぜひ、あなたのような方に声を上げてほしいところです。
第211回

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