男と女のQ&A【恋愛編】「優しさは自分自身に対する優しさだった」

【Q】
コロナの感染拡大で、行動に制限がかかってから1年半になりました。こういう時って関係を試されますよね。関係が深まることもあれば、壊れることもある。彼とはコロナ前に2年半、コロナ禍で1年半も付き合っているので、期間だけ見ればいい関係にも見えるけど、コロナ禍で意識の違いがはっきりしてきちゃって…。彼は感染に対して無頓着なんです。マスクはしてますけど、外飲み、食べ歩き、会食、何でもあり。「もっと注意してよ」って言ったんですけど聞き入れてくれなくて。彼にそういうところがあるのは感じていたので、ある程度は許容してたんですけど、どうしても受け入れられないのが、「俺たちは、感染したって重症化することは稀なんだから、コロナなんて気にすることないんじゃない」っていう考え方。彼は、高齢の方たちは亡くなっても自分に影響がなければいいって思ってるんです。結局、それって私に対しても同じようってことですよね。これまで彼は優しい人だと思っていたのでショックでした。彼の優しさは自分自身に対する優しさだったんです。この気持ちを彼にぶつけて、何とかいい関係でいようと思ったんですけど無駄ですよね。
 
【A】
もう、あなた自身で答えを出していらっしゃいますよね。「この気持ちを彼にぶつけて、何とかいい関係でいようと思ったんですけど無駄ですよね」と。
まったくその通りです。コロナ前2年半、コロナ禍で1年半、4年かかって、しかもコロナウイルスが世界中に蔓延して、やっと彼の本質がわかったということですね。おっしゃる通り「彼の優しさは自分自身に対する優しさ」です。「高齢者の方は亡くなっても自分に影響がなければいいと思っている」、「それって私に対しても同じ」。あなたはショックを受けながらも現実をしっかり見て、しっかり受け止めています。その態度、とても立派です。「人を愛すること」の本質を今まさに発見されています。
 
残念ではありますが、4年半かけてそれを学んだと思ってください。もう一分一秒ももったいないので、今日にでも彼に別れを告げて、新しい人生を歩み出してください。「彼を優しい人」と思っていた自分の感覚を学び直したあなた。今度こそはきっと「本当に優しい人」に出会えると信じています。
 
アメリカの小説家、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」をまだお読みでなかったらお読みになることをお勧めします。貧しいカップルのクリスマスの贈り物のお話です。デラはジムに、父親の形見の金の懐中時計に付けるプラチナの鎖を贈りたいと少しずつお金を貯めてきました。ジムは、デラの長く美しい髪にぴったりのべっ甲の櫛を贈りたいと思っていました。けれど、どうしてもお金が足りません。ご存じの方も多いと思います。クリスマスの日、デラはジムにプラチナの鎖を、ジムはデラにべっ甲の櫛を贈ったのです。彼女は、その長く美しい髪を売り、彼は父の形見の懐中時計を質に入れて。
 
もっと身近にも「本当の優しさ」をテーマにした小説やお話、映画はもちろんですが、歌の歌詞などにもはっとするような言葉が出てくることがありますよね。藤原さくらの「Soup」(作詞は福山雅治です)やヒルクライムの「春夏秋冬」等々。もっともこれらは自分勝手に述べているのではなく2人で共有できていればという前提ですが(笑)日本昔話の「泣いた赤鬼」は小学1年生の教科書に載っていました。浜田廣介が民話を題材に書いています。「ごんぎつね」も「本当の優しさ」を教えてくれます。
 
4年に渡る「恋愛の終わり」をコロナ感染への彼の態度からショックを受けて決めようとしているあなたへ、いくつかの歌やお話を贈ります。
第212回

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