男って何?女って何?【夫婦編】「流産をきっかけに変わってしまった妻」

 
Q.
結婚して5年です。子どもが欲しかったのですが、なかなかできませんでした。4年が過ぎた昨年妊娠しました。ところが4ケ月目に入ったところで流産してしまいました。医師からははっきりした原因はわからないと言われました。4年以上もかかっての妊娠だったので私も妻もショックでした。とはいえ、誰を責めるという問題でもないので、極力普通に生活するよう心がけていました。ところが、妻が流産をきっかけに変わってしまったんです。何でも占いや風水にこだわります。物の置き場、カーテンや絨毯の色…。私もそれくらいなら我慢できるのですが、先日旅行に出かけようとしたら突然、方角が悪いと言いだし前日になってキャンセル。さすがにここまで来ると私の我慢も限界です。
 
A.
この流産はショックだったでしょう、特に奥様にとっては。4年以上待ち望んでいた妊娠が、はっきりした原因もわからず流産してしまったのですから、どれほど辛く悲しかったことでしょう。何が悪かったのかと自分を責め、なぜ私にだけこういう不幸が襲いかかるのかと運命を呪い、どうしようもない気持ちと戦い続けていることと思います。こういう時人は「そんなはずはない」と現実を否定しようとしたり、実際に起きたことから目を背けようとしたりします。自分に不幸な出来事が起こると、人はまず「こんな事、私に起こるはずはない」と打ち消し、次に「なぜ私にだけ?」と運命を恨みます。
 
精神科医E・キューブラー・ロスは「死ぬ瞬間」という著作の中で、死を宣告された時、人がどのように自分の死を受容するかのプロセスを①自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う、②なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける、③なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる、④何もできなくなる、⑤最終的に自分が死に行くことを受け入れる、の5つの段階にまとめました。奥様はまだ②段階。赤ちゃんの死を受け入れるに至っていない状況なのです。医学的に訳もわからず赤ちゃんの命が絶たれてしまったわけですから、頼るものは医学や科学ではなく、占いや風水にすがるしかないことでしょう。
 
彼女の心の状態を理解して寄り添うことが必要です。このショックから立ち直るためにはあなたの力が何よりのものです。この悲しみ、他の人にはわからない痛みを共に感じられるのはあなただけと彼女も思っているはず。男性である夫はそのショックから立ち直って旅行を企画できたのに、「私はまだそんな気持ちになれない。旅行なんてやっぱり無理」と葛藤の末、出した結論が前日のキャンセルだったのでしょう。きっと彼女は自分ひとり悲しみの中に放って置かれていると感じ、孤独に打ちひしがれたことでしょう。こんな時、無意識に私たちは人知の及ばない力を持つと言われる占いや風水に頼ります。科学や文明が発達していない昔は、政治や病気も占いや風水に頼っていました。妻の言動を頭ごなしに否定するのではなく、例えば旅行のことも、別な方角に1泊し、方角を変えてから目的地に向かうなど、妻を孤独の中に置き去りにしないように気を遣えば間もなく快復するでしょう。
case 27

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