Q.
娘には4歳と2歳の娘がいます。共働きなのに婿は一切子育てに関わろうとしません。保育園の送迎、家庭の中でも何もしません。子どもたちが寄っていくと「うるさい!」の一言。その上、娘に「おまえの子育てが悪いから言うことを聞かないんだ!」と。向こうのお母さんが訪ねてきた時には、用意して置いたビールの銘柄が違うとかですぐ買いに行かされたあげく、お義母さんにも「何年経ったら私の好み覚えるの!?」と嫌みを言われたそうです。先日は、婿の浮気が露見して、婿とお母さんと話し合いを持ったんですが、二人揃って「それくらい男の甲斐性」と開き直られて…。私としては離婚した方がいいと話したのですが、娘の気持ちが揺れていて方向が定まりません。
A.
娘さんの夫はどうも「ピーターパン症候群」の疑いが大きいですね。「ピーターパン症候群」というのは1983年に、アメリカの心理学者、ダン・カイリー博士が「ピーターパン・シンドローム」という本で提唱し広まった言葉です。これは精神疾患ではなく誰でも持っている問題の一種ですが、この症状がひどくなると日常生活や人間関係に支障をきたします。カイリー博士は、この症状の特徴は4つあると言っています。「無責任」「不安」「孤独」「性役割の葛藤」です。
娘さんの夫は、子どもたちが寄っていくと「うるさい」と言い、「おまえの子育てが悪いから子どもが言うことを聞かないんだ!」と責任転嫁をし、とても無責任な夫、父親像が見えます。そして共働きなのに一切子育てに関わろうとせず、保育園の送迎、家事も何もしないとのことから、家事育児は女の仕事という古い「男尊女卑」的な考え方、「性役割」があります。浮気が発覚しても「それくらい男の甲斐性」と開き直っているところは、いつの時代の男かと耳を疑いたくなります。その上、夫の母までもそれに同調しています。そしてこの浮気性なのも、自分に自信がないところや寂しがりなところから手当たり次第に関係をもってくれそうな女性と付き合う傾向があることが伺えます。自己中心的で自己愛的でプライドが高く、それでも自分の非を認めません。
男性のみに見られる症状で、20世紀初頭の政治動向やメディア政策が男の子に深刻な性役割の葛藤を与えたことから始まったと博士は言っていますが、具体的にはその男性の両親が不仲で家庭が安心、安全な居場所でない子どもたちに多く見られる症状です。精神的な病気というわけではなく、社会人、夫、父親としてやっていく能力に欠けているので、娘さんやお孫さんたちはとても生きづらいと思います。
離婚について娘さんは気持ちが揺れているようですが、一緒にやって行くには、ピーターパンの物語に登場するウェンディの面倒見のいい過保護な母親のような役割をずっと続けることを覚悟しなければなりません。うまくやって行くには、むしろティンカー・ベルタイプの女性となって、母親の役割をするのでなく、彼と真摯に向き合いお互いが成長していける関係にしていくことが必要でしょう。時間とエネルギーが必要ですが…。娘さんの心の揺れを理解してあげながら「こういう考え方もある」とゆっくり話し、娘さんを支えてあげてください。
case35