男って何?女って何?【夫婦編】「見劣りする夫」

 
Q. 
結婚して8年です。結婚2年目に息子、4年目に娘が生まれ、息子の小学校入学を機に狭いアパートから今のマンションに引っ越しました。100戸足らずのマンションですが、息子の同級生だけで7人います。みんな仲良しで、ここに越してきてよかったって思うんですが、同じような人たちが多い分つい人と比較しちゃうんです。特に夫。ここに来るまで、夫はちょっと乱暴なところはあるけれど、家事や子育てを手伝ってくれるいい人って思っていたんです。でも、今のマンションには、家事や子育てを普通にこなす男性がいてビックリ。でも今ではそっちが普通なんじゃないかって思うようになりました。そう思うと夫は見劣りするし粗野で乱暴だし…。なんでこんな夫をいい人なんて思ってたんだろうと後悔しています。
 
A. 
一般的に男が女を選ぶ時、あまりえり好みをしないのに反し、女はじっくりと時間をかけて男を観察し、慎重に交際相手を選ぶと言われています。ちょっと古い調査ではありますが、アメリカの大学生の男子75人、女子73人に一定期間内に理想として何人の異性と交際したいかを尋ねたところ、例えば3年間に交際したい異性の数は、男子の平均が9人、女子の平均が2人という結果(1993年Buss&Schmitt)でした。一生のうちに何人と交際したいかとなると、女子は5人止まりですが、男子は18人となります。多くの生物でもオスができるだけ多くのメスを手に入れようとし、メスが注意深くオスを選ぼうとする傾向は、動物一般に見られるものです。
 
生物の究極の目的である生存競争に勝つために、オスはできるだけ多くのメスと交配することで、自分の遺伝子を次世代に残すことができます。ところがメスは、どんなに多くのオスと交配してもできる子の数は自分の卵子の数より多くなることはありません。しかも「ヒト」を含む哺乳類では、普通妊娠期間中と授乳期間中も子は作れないので、メスが一生に作れる子の数はとても少なくなります。その上、「ヒト」の子は、他の動物に比べ生まれてからの育児に手がかかります。そのため「ヒト」のメス、女性は自分の子の父親に、自分たち母と子にどれだけ献身してくれるか、また、狩猟採集社会であれば、どれだけ獲物を獲得し持ち帰ってくれるかを、相手を選ぶ最大の基準としました。
 
あなたは、この点まことにぴったりな男性を選択なさっています。「ちょっと乱暴だけれど家事や子育てを手伝ってくれるいい人」ということですから、狩猟採集社会であれば、イノシシやマンモスと闘って、「たくさんの獲物をあなたとお子さんに持ち帰ってくれるいい人」だったに違いありません。しかし、かつて「狩猟社会では勇敢に思えた乱暴さ」は、現代社会の近代的マンションにおいては「見劣りする粗野な男」と感じるようになってしまったわけです。
 
あなたは、自分の命じるまま、その遠い呼び声に従って相手を選択したわけですが、現代社会では、獲物を狩りで獲得するわけではなくなっているのですから、今の生活にマッチする文化や優雅さ、優しさを2人で作って行く努力をしてみてはいかがでしょうか?
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