男って何?女って何?【夫婦編】「セックスレスは寂しい」

 
Q. 
結婚して3年です。夫一人の収入では生活が厳しいので仕事は続けています。昨年出産して6ヶ月育児休暇を取りましたが、4月から子どもを保育園に預けて職場に復帰しました。夫は育児にも協力的で、ほぼ何でもやってくれますが、子育てと仕事の両立は思ったより大変で、仕事に出始めて間もないころ、夫が夜私のそばに寄ってきた時、「何考えてるのよ、疲れてるんだからやめて!」と怒鳴ってしまったんです。その後は、夫が私のそばに寄って来ることはありません。妊娠中からセックスレスなのでもう2年近くになります。今では怒鳴ったことを後悔しています。もう一人子どもがほしいこともありますが、セックスレスは寂しいし「女ができたんじゃないか」と心配にもなります。
 
A. 
「肌と肌を合わせることから生まれる親近感」「二人以外は知らない秘め事をしているという共犯意識」とが備わって「性」の関係は愛するもの同士にとって欠くことのできない大切な事柄となっています。「愛と性」はセットになっていて、特に女性の幸福は「愛に満ちた性を男性から提供されること」と男も女も少年少女時代から信じ込まされています。「夫婦が昼間どんなに行き違っていてもベッドの中ではそれを埋め合わせることができる」と文化やマスメディアが教えているのです。
 
昔の言い習わしに「夫婦げんかと西風は夜になるとおさまる」とか「外れた障子と夫婦げんかははめればなおる」など、露骨な言い伝えもあります。昔の人のコミュニケーションの知恵というものではありましょうが、「性」、それも「夫婦間の性」をあまりにも表面的に、単純に考え過ぎています。昼間どんなにとげとげ、ぎすぎす夫婦げんかをしていても夜力尽くでも妻を抱いてやれば、昼の夫婦げんかでいくら言い負かされていたとしても、逆転と挽回のチャンスは充分あると思わせる言い伝えです。こういう形の夫婦の性が、夫婦分裂の危機を救ってきたことはあったでしょう。太古、狩猟採集時代に「性」と引き換えに食料を手に入れて生き延びてきた女性、その「SEX」はまた、妊娠、出産、子育てという大仕事を一人で背負い込む可能性を意味しました。進化論的に見れば、こうした長い繰り返しの中で、妻は夫に「性 」を提供することで夫から資源と保護を約束され、安心で安全な環境の中で出産や子育てを続けてきたわけです。こういう歴史の中から性に対する意識にはどうしても男女差が生まれます。
 
あなたのように子育てと仕事で疲れ切っているときに夫から「性」の提供を要求されても心身共にそれに応える状態ではありません。ましてや、それが「愛」とセットになっているとは思えず、怒鳴ってしまうわけです。ところが夫の側は妊娠期間中からなかった妻との性の関わりを今夜こそと思ったものを手ひどく断られた屈辱感から、二度と寄ってこなくなり、あなたの方が不安になったり寂しくなったりして、怒鳴ったことを後悔しているというわけですよね。この際、「愛に満ちた性」とは何か、それは男から女に与えられるものではなく二人で作り上げていくものだと信じて、夫に気持ちを打ち明けてください。きっと相手も悩んでいると思いますよ。
case55

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