男と女のQ&A【親子編】「息子の彼氏?」

【Q】
息子は高校2年生です。小さいころからサッカーをやりたがって、小学生のころから少年団でサッカーをしていました。中学生になってもサッカーを続けるのだろうと思っていたら、「サッカーは目の前で蹴けられたボールが当たったり、相手とぶつかって倒されたりして、すごく痛いんだよ。だから、相手と直接ぶつからないテニスにする」と言い出して、テニス部に入部しました。テニスで目立った成績は残せず、高校では漫画研究会に入りました。小さいころから漫画のようなものをよく描いていたので納得はいったんですけど、漫画研究会に入ってから描いているものを見たら少女漫画のようなものばかりなんです。
先日、うちに友達が来て、かなり長い時間2人で息子の部屋にいたんですけど、飲み物とお菓子を持って行ってやったら、なんか雰囲気が変なんです。男の子の友達なのにまるで恋人同士のような…。その雰囲気に話もせず慌てて出てきてしまったんですけど、もし異性と付き合うような付き合い方をしていたら、どう対応すればいいのか、パニックになっています。
 
【A】
ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏による性加害を認めて謝罪した9月7日の会見をTVは時間を割きライブ中継で伝えました。調査会社のニホンモニターの調べでは、この日地上波では36番組が報道し、時間にして計18時間4分13秒に上ったとのことです。マスメディアがこの問題を積極的に報じたのは極めて最近の話です。フォーリーブスの北公次さんが性加害を受けたことを告白したビデオや告白本は1998年、今から34年も前に出されていて、著書は35万部も売れましたが、当時、新聞やテレビはほとんど取り上げませんでした。8月29日に再発防止特別チーム(事務所が設置)が公表した報告書には「マスメディアの沈黙」という項目があるほどです。
 
もしかすると、あなたもこの一連の「性加害があった」と認めた報道を見たり聞いたりして、息子の様子と重ねた結果、パニックになっているのではありませんか?確かに少年時代、サッカーをやるのを嫌がってテニス部に入部したり、高校では漫研で少女漫画を描いたりしています。そして「なんか雰囲気が変」「恋人同士のような」と思い慌てて部屋を出てきてしまいました。
 
あなたは最近話題になっている「LGBTQ」のことはご存じですか?幅広いセクシャリティ(性のあり方)を総称する言葉で、国は自治体の働きかけなどもあり多様性が大切にされるようになった昨今では、この「LGBTQ」の考え方やそれを取り巻く問題が少しずつ社会に認知されるようになってきました。
 
あなたが息子さんと男の子の友達の様子を「まるで恋人同士のよう」と感じたのが正確なら、息子さんとそのお友達はGay(ゲイ)の関係ということになりますよね。あるいはどちらかが体と心の性が一致しない性自認、T(トランスジェンダー)なのかもしれません。
 
いずれにしても、一度切り、しかも瞬間的な雰囲気だけで決めつけてパニックになるのではなく、慌てて部屋を出てきたあなたの様子にお子さんが気づき、何か話そうとするかもしれませんので、その時は話をそらしたりせず、真っ直ぐお子さんの気持ちを聴いてあげてください。もしお子さんに告白されてもそれが青春の一時的なものかもしれません。落ち着いて息子さんの様子を見守り、それを否定したり、こういう人たちを軽蔑したりする態度や発言は絶対しないようにしてください。夫、彼の父親を含めて、LGBTQやジェンダーギャップのことが家族で気軽に話せるといいですね。
第264回

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