【夫婦編】「いい夫の条件て何?」

【Q】
結婚して3年。まだ子どもはいません。夫は、他人から見るととてもいい夫なんです。優しいし、親切だし、気も利くし。そういう点では、私から見てもいい夫かな・・・。どこかレストランに行けば、入り口のドアは必ず開けてくれる、まず私にメニューを開いて渡してくれる・・・。彼にはそれが普通みたいなんです。紳士っていうか・・・。友達の旦那なんて、居酒屋行って、さっさと自分の飲み物頼んで、自分のが来たら先に飲み出しちゃったりするようなタイプが多いから、たぶん私の夫はいい人なんですよね。でも、家にいてもあまり会話はないし、いつも何か仕事のことをしてるんです。でも、何か頼めば文句も言わずにやってくれるから、私のために頑張ってくれてるんだなって思おうとするんですけど、「この人、なんで私と一緒にいるんだろう? 私じゃなくてもいんじゃない?」って・・・。いい人だって思うから、文句も言えないし、喧嘩もできない。友達に愚痴っても「何言ってんのよ!あなたの旦那はいい人だからいいじゃん」で終わり。最近、彼と一緒にいること自体が苦しくなってきちゃって…。

【A】
「えっ? この相談て、私が書いて投稿した?」って一瞬思っちゃいました。私の夫も、周りから見ると「とてもいい夫」で、私の両親にもとてもよくしてくれたので、私が夫の愚痴でも母に言おうものなら、
「何言ってんの! あなたがわがままなだけじゃないの! 少しはあなたも妻らしく我慢しなさい!」
と叱られ、友達に言おうものなら、
「あらっ、ごちそうさま! それって、のろけ? もしよかったら、うちの夫と取り替えてあげてもいいわよ」
と笑われ、本気で私の胸の内の辛さなど聞いてくれる人はいませんでした。
その上あなたは、あなた自身が「いい夫かな・・・」と思ってしまうんですよね。だって、よその夫は妻のことは二の次、三の次なのに、あなたの夫はあなたのためにドアを開け、メニューを開き、頼めば何でもしてくれるんですものね。こういう夫は、子どもができるとまめで子育ても上手い。子どもはあなたよりパパを好きになること請け合いです。
とはいえ、あなたは苦しい。
結局、「いい夫」か「悪い夫」かは、親や友達や社会が決めるのではなく、あなた自身が決めることなのです。あなたの夫を世界中の人が“いい人”と言っても、あなた自身が「一緒にいることが苦しい」って思っているとしたら、それはやっぱり苦しいんです。
いい夫の条件なんて、時代や国、もっと言えばそれぞれの人によって、まったく違います。私の母たちの時代は、夫にたくさん愛人がいれば「浮気は男の甲斐性」などと周りに言われ、「あんた、お金のたくさんあるいい男捕まえたじゃない。浮気なんて我慢しなさいよ」と諭された。時代が下って今は、あなたの夫のように、優しくて仕事熱心な男がいい男の条件になる。そういえば、ちょっと前までは「三高」とか言って、「高収入」「高学歴」「高身長」な男性がもてはやされましたね。
おわかりですか?
そう、彼がどうかということよりも、あなた自身がどう思うか、どう感じるかの問題なんです。いくら夫があなたのことを愛していると思っていたり、愛していると言ってくれたり、当の本人の“あなた”が、「愛されてるなあ」と思えなければ、愛されていることにはならない。人がなんと言おうと「この人、私じゃなくてもいんじゃない?」と感じるなら、その感覚を大事にしてください。
いくら、「私のために頑張ってくれている」と思おうとしても、いつも家に仕事を持ち込んで「僕には話しかけないで!」みたいなオーラを背中から発していると感じるようだったら、あなたの夫は「いい夫のふり」をしているだけかもしれません。ただ、このふりも3年間続いているようなので、もしかしたら、あなたの心の内側の苦しさに気づかず、「これだけしてあげているんだから大丈夫」と思い込んでいるという可能性もあります。いずれにしても、この「一緒にいること自体が苦しい」というあなたの気持ちを率直に夫に話して、二人の意識や価値観のずれについて話し合い、修正してみてください。たとえ喧嘩になったとしてもです。別れるという選択肢もありますけれど、その後でもいいんじゃないですか。
さて最後に、読者の皆さん、お友達にこういう悩みの人がいたら、「のろけ?」と思わず、話をよく聞いてあげてください。夫が“いい人”と思われているということは、妻は逆に“悪い人”、“わがままな女”と思われがち。誰にも分かってもらえない胸の内、とっても苦しいはずですから。

第3回

ページ上部へ