【子親編】「嫁は若い方がいい?」

【Q】
夫とは職場結婚です。職場で男性が女性に触ったり、声をかけたりすれば即セクハラみたいな状況の中、私が年上だったことあってか夫は私に声をかけてくれました。夫22歳、私30歳のときのことです。それから5年間のお付き合いを経て、一昨年結婚しました。私の両親は、私を大事にしてくれる夫の様子を見て、すぐに夫を気に入ってくれたのですが、夫の両親はそうはいきませんでした。付き合っていると分かった瞬間から猛反対にあい、会ってももらえませんでした。辛い日々が続きましたけれど、夫が義父に「籍を入れるから」と宣言してくれ、結婚できました。その後、夫の両親もなんとか結婚は認めてくれました。先日夫の実家を訪ねると、たまたま父の友人数人がいらしていて、私も配膳を手伝ったりしていたんですが、義父が明らかに私に聞こえるように「嫁は若い方がいいよな」と皆さんに話すんです。私は悲しさで身動きできなくなり、涙が床にこぼれました。一瞬、皆さんの会話が止まったのがわかりました。さすがに結婚までの辛かった日々を思うと、夫と別れるという選択肢はありません。でも、あからさまに「嫁は若い方がいい」と言う義父とどのように付き合っていけばいいでしょう。

【A】
歴史をひもといてみても、古今東西、結構年上の女房はいるもので、どこの国でも政略結婚などはかなり年上の女性が帝や将軍の妻になったり、側室になったりしています。かの有名な源氏物語の中でも主人公の光源氏は、父、桐壺の帝の妻(側室)桐壺の女御を初めての恋の相手として契りを結んでしまいます。このような年上の女性にあこがれる少年物語は外国にもたくさんあります。オペラ「椿姫」のヴィオレッタとアルフレードも同じく年上の女性に恋い焦がれた青年の物語です。年上の女性と若い青年の恋は「性」の関係においても生物学的にマッチングがいいようです。
さて、あなたのこと。
「嫁は若い方がいいよな」と言ったお義父様の言葉をあなたはすっかり「悪口」と取ってしまったようですね。「若い方がいい」という言葉、頭に「息子の」がありませんよね。あなたは当然のことながら「夫の嫁」と考えて、「悪口」とお取りになったのでしょうが、「嫁は若い方がいい」という言葉をもっと一般論で考えてみてください。
彼は27歳の息子の父親ですから、年齢は60歳前後でしょうか。不謹慎な想像かと思いますが、35歳のあなたに不釣り合いともいえない関係図ではありませんか。特に最近の芸能界などは、年の差婚は大流行ですものね。男が年長で妻が20歳、30歳若いというのは、そうびっくりされることでもない。むしろ「うらやましいですなあ」とか「お盛んで」とからかわれるくらいなもの。ですから、お義父様は「息子の嫁」というより「我が嫁」という願望を抱いていたとも考えられます。おそらく、それがお義父様の願望そのものなのではないでしょうか。
100年ほど前に活躍した精神科医フロイトは、「意識が認めたくない内容は意識から遠ざけられ、抑圧されて無意識の中にしまい込まれる」ということを発見し、催眠による治療を行い、遠ざけられ、抑圧されていた無意識の感情を表出させるようにしました。
あなたのお義父様は、無意識のうちに「あなたが自分の嫁だったらなあ」という願望を抑圧し、無意識の中にしまい込んでいたために、思わず友人の前でそのような言葉が出てしまったのでしょう。あくまで「若い嫁」は彼にとってのあなたなのです。

今日の解答はお義父様の無意識の意識の解明から始めました。あなたは「8歳年下の夫と別れるという選択肢はありません」とおっしゃっているのですし、「嫁は若い方がいい」と言ったのは夫ではなく、その父親ですから、別れるなどという選択肢はまったく必要ないことを確信してください。むしろ夫の父親はあなたに淡い恋心を抱いているのかもしれませんよ。父親と息子の遺伝子の半分は同じなので、女性の好みも自然と似てくるもの。どうぞ、お義父様にはにっこり微笑んで「そうですよね」とでもおっしゃって仲良くお付き合いください。高齢になられて抑圧がとれた暁には、年老いた自分の妻ではなく、若いあなたに介護され、幸せに亡くなられることと思いいます。

第10回

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