【恋愛編】「えーっ、あんたが誘っといて割り勘?!」

【Q】
私が始めて参加した合コンは、男性が全員、うちの会社の取引先の社員でした。「利害関係があってやりにくいなあ」なんて思いながらも、うちの会社よりずっと大きい会社だし、給料も高いって聞いていたので、いい相手がいたらラッキーって思い参加しました。そこに彼がいたんです。私よりも彼の方が私を気に入ってくれたっていう感じ。彼の積極さに押されて付き合い始めました。思った通り、高給取りのようで、最初の何回かは高級レストランでデート。もちろん勘定は彼氏持ち。でもそのうち、「ここは二人で千円ちょっと。いつも僕だと気になるだろうから、君に払わせてあげるよ」って、安いところでは私が払うようになったんです。そんなことが何回かあったと思ったら、あっという間にすべて割り勘になっていました。ディズーニーランドみたいなところならまだしも、あんたが誘った高級レストランまで割り勘? そりゃないでしょ?!って感じ。普通、男が出しませんか? 友達に話したら「そんな奴、やめた方がいいよ」って言われました。私も、ちょっと迷っています。でも、他に不満はないんです。

【A】
デートの食事代をどちらが持つかは男女の間で大きな課題のようですね。一般的にはあなたの友達のように(実はあなたも)「男が持つのが当たり前」ということになっているようですが、私はそうは思いません。なぜなら、「男がお金を出す=男が女より上」という方程式が出来上がってしまいますから。もしかするとあなたは、「お金を出す人=誘った人=好きという度合いが強い人」という方程式なのかもしれませんが、実際には二人の関係を対等の関係から上下関係にしてしまうのがお金だからです。お金の力というのは、私たちが思っている以上に心の奥底で私たちを支配しているのです。
初めは「愛されている証」と思っているかもしれませんが、男性の方は「俺が出してやっている」という思いが強くなり、結婚後は「誰のおかげで食ってると思ってるんだ!」という暴言になっていくわけです。男性にすれば、戦国時代さながら、お上に仕え、白を黒と言わされ、心ならずも正義の心を折り、怒りをこらえて日夜上司のご機嫌を伺って手に入れたお金です。簡単に女、子どもに渡してたまるかっていう感じなのでしょう。だからおごる時には、最高の礼を尽くして感謝の「ありがとうございます」「ごちそうさまでした」を言ってもらいたいのです。
「給料も高いって聞いていた」「ディズニーランドみたいなところならまだしも」と言っているところから察すると、あなたは「男が払って当たり前」という古風な(一時に比べ、最近、逆にそういう女性が増えているのかもしれませんが)考えの持ち主ですね。たぶん彼が期待するほどの感謝も敬意もあなたからもらえなかったのでしょう。戦国時代、男は命をかけて上司のために闘い、その報酬で妻子を養ってきました。そういう男を女性は、頼りがいのある夫、頼りがいのある恋人として、大切にしてきました。女性が何の生産性も持たず、貨幣経済から除外された場所におかれた武士の階級では、そうするしかなかったのです。当時でも、庶民は農家や商家で、女性も一人の労働力としてきちんと役割を果たしていました。ですから、男尊女卑と言われる文化の中でも、庶民の妻や母親は、かなり権力を持っていたことが歴史や文学の中でもわかります。時代劇でも労働力として働いていた女性たちが、男を動かしていくストーリーは多いですよね。
さて、あなたは彼に感謝と敬意を表しておごり続けてもらう関係がいいですか? それとも割り勘を気持ちよく受け入れて、対等の関係で付き合いたいですか?
もちろん、いつも半分ずつの割り勘ということではなく、収入やそれぞれの事情(親に仕送りをしているとか…)もよく話し合って、「今日は私」「次は僕」という具合に。
「出せる方が出せるだけ出す」というような「出せることに喜びを感じる」ようなお金の使い方を相談できるといいですね。そろそろ「お金は男が出す」という習慣も変えていきたいなあと思います。もちろん、女性が稼げる場が少ないことも、この問題の根本的にあることは間違いないのですが。
と、まあ私はそう思います。ただ、この男性、最初はお金を出していたにもかかわらず、後に割り勘になったとのことですから、お金であなたを釣ろうとした、それだけの男かもしれません。「他に不満はない」ようですから、腹を割って話し合うことは可能でしょうか。お友達の言うように「そんな奴、やめた方がいい」と単純に決めつけず、「不満がない」あなたの感覚も大切にしてください。

第12回

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