【夫婦編】「結婚て生活のシェアですか」

【Q】
32歳、結婚して3年です。夫は37歳、それぞれ会社に勤めています。給料は、同じくらい。残業が多い時は、私の方が多くなることもあります。月に2、3回は、外で待ち合わせをして食事をしたり、飲みに行ったりしています。普段の帰宅は、私は7時半くらい、夫は10時くらいです。仲はいい方なんじゃないかな? 結婚前、子どもは2人なんていう話をしていたんですけど、まだいません。子どものこともあったので、家賃16万円の広めのマンションに住んでいます。私は今もすごく子どもがほしいんです。でも、夫は少し違うみたい。できないというよりは作らないという感じです。私は「家庭」を作りたいんです。帰ってきた時にほっとするっていうか、安心できるっていうか、そういう家庭。今の生活って、ただのシェアって感じ。学生時代に男友達と半年くらい同棲してました。同棲なんだけれど、私はシェアって感じでした。その方がいろいろ安上がりだから。結婚は、シェアとは違いますよね?! なのに夫の態度は、どう考えてもただのシェアなんです。

【A】
「結婚」の目的があなたと夫で違う気がするので不満なんですね。学生時代にあなたが「安上がり」の目的でしていた「同棲」のような「結婚」だと感じている。これでは単なる「シェア」にすぎないと腹を立てて私に相談されていらっしゃる。

結論から申し上げると、私に相談するまでの3年間、いえ知り合ってからの期間を含めての間に、この「結婚観」のズレについて、どのくらい夫と話をされましたか?
理想を言えば、「結婚観」や「結婚の目的」なんて、わざわざ話をしなくても、言わず語らずの中でお互いが理解し合っていけばいいのですが、これだけズレていては話をしないわけにはいきませんよね。結婚前には「子どもは2人」という話もされ、そのために16万円も家賃を払って広いマンションを借りているわけなのに。どこかの時点から夫は「子どもは作らない」という感じに変わったんですものね。

あなたは「家庭」というものを帰ってきてホッとできる、安心できる場所と思い、同棲やシェアとは違う価値観で結婚したわけですが、今の結婚生活には安心やホッとする感じがしない。仲はいい方だと思えているなら、今、私に相談なさっているままの心の内をぜひ夫に伝えてみてください。あなたは時には夫より高い給料の時もあるほど経済的には対等の関係で、生活は「シェア」できているのですから、あとは精神的に人生を「シェア」してはいかがですか? 「シェア」を「安上がりのため」と考えず、「分かち合う、喜びも悲しみも分け合う」関係と考えてみませんか。

「同棲」はお互い無責任に一緒に住んでいて、いやになったら別れるけれど、「結婚」して「籍」を入れると責任が生じて簡単には別れられなくなる。この簡単には別れられなくなった状態を「家庭」と一般的には思うわけです。が、元々、結婚制度や戸籍制度の起こりは、為政者が人民を治め易いようにして、税の取り立てをするのが主な目的ですから、シェアや同棲が籍を入れて「結婚」になっただけで、本当に安心できる「家庭」ができるわけではありません。かえって逆に「結婚」して籍を入れた途端、男性は「妻」という名に変わった私たち女性と対等な関係ではなく上下関係になった気分で妻の気持ちや結婚前に話し合っていた「家庭」の理想像など「その話は結婚前のことだろ?!」と、まさに「釣った魚」の例えさながらになることが、まだまだ多いようです。

結婚制度は、私たち女性を保護する点もありますが、一方で男性諸氏を安心させる制度でもあります。きっとあなたの夫は、あなたが「帰ってきた時ホッとする、安心できる家庭を作りたい」と訴えても「僕は充分安心してるけど」と言うはずです。どうか、そこをくじけず、あなたの作りたい「家庭像」をアサーション(相手の考えも聞きつつ行う自己主張)してください。せっかくあなたは経済的に自立していて、夫と対等に「シェア」しているのですから。

まさに「結婚」という制度が「家庭」を作るのではなく、何の制度にも縛られない「シェア」や「同棲」の中にこそ「真の愛と信頼」だけで結ばれた「安心できる関係」が生まれるのかもしれませんよ。

第13回

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