【恋愛編】「僕は君のために生きてるんだってのは嘘かよぉ?!」

【Q】
彼とは付き合い始めて半年。何度か旅行に誘われましたが断っていました。まあまあの彼氏だし、あんまりじらして逃げられちゃうのももったいない。そろそろかなと思って、旅行に行くことにしました。ところが、年末でどこの宿もいっぱい。「値段もそこそこだし、ここならいんじゃないかなあ?」と彼が言うので、まあいいかなと出かけました。これが大失敗。値段はそこそこなのに、駐車場に着いても出迎えはない、フロントで荷物を持ったまま宿泊者カードに記入していても、そばにいる従業員は荷物を持とうともしない。部屋にはエアコンがなく、暖房はガスストーブのみで半端じゃなく寒い。窓際の蛍光灯はちかちかしている。とにかくため息の連続。これが彼との初めての旅行?!それでもここまでは彼のせいじゃない。私も了解して決めた宿なので我慢するしかありません。でも、私が「他の部屋がないか聞いてよ」と言っても「蛍光灯取り替えさせてよ」と言っても、「しょうがないよ、年末なんだし、やっと取れた宿なんだから」と言うばかり。結局私がフロントに電話して部屋のことを尋ね、蛍光灯の交換を頼む始末。いったいこいつは何なんだよぉ!いつも私のために生きてるって言ってるのに、いざとなると何にもしてくれないのかよぉ!こんな彼とは別れた方がいいか迷っています。

【A】
はい、ズバリそんな彼とは別れた方がいいでしょう。いつも「僕は君のために生きてるんだ」と言っているのに、いざとなるとあなたのために何もしてくれないんですよね?他の部屋がないか、ちかちかしている窓際の蛍光灯を交換してと尋ねたり、頼んだり、すべてあなたがさせられたわけですね。
彼があなたのために生きているかどうかを決めるのは、彼ではなくあなた自身なんです。
彼が何十回、何百回「僕は君のために生きてるんだよ」と言ったとしても、あなたが「ああ、彼は私のために生きてくれているだなあ」と思わなかったら、彼があなたのために生きていることにはならないですから。たとえ駐車場の出迎えがない、従業員は荷物を持とうともしない、エアコンもなく・・・、蛍光灯は・・・etc.の宿だとしても、「私が彼をじらしていてなかなか返事をしなかったからこんなことになった」「彼は一生懸命宿を探してくれたんだけれど、私たちの経済力ではこんなもん」「せっかくの旅行で宿に文句を言うことで二人がさらに嫌な気分になることもある。彼はそこまで考えて文句を言わなかった」という風には、あなたには思えなかったんですよね。

カウンセリングの療法に「論理療法」と呼ばれているものがあります。「ABC理論」とも言われる理論です。「人は不幸な出来事が起こるから不幸になるのではない。起こった出来事をどう受け止めるかによって不幸にも幸福にもなる」というアメリカの心理学者アルバート・エリスによって提唱された理論です。

この考え方を応用して、駐車場の出迎えがなかったことも、フロントで放っておかれたことも、「これなら二人でどんなにベタベタしても周りに気を遣う必要ないじゃん」、エアコンがなく部屋が寒いことも「二人で身を寄せ合って暖め合えばいいじゃん」、ちかちかする窓際の蛍光灯のことも「蛍光灯は消して暗くすることでムードが出るじゃん」と、まあそんな風に考えることもできなくはないんですが、あなたは実際、そうは考えられなかったんですよね。

はじめに「付き合い始めて半年。あんまりじらして逃げられちゃうのももったいない」と言っているあなた。恋愛に「じらし」たり、「逃げられちゃ」ったりする感覚を持ち込んでいます。この恋愛をきっかけに、O.ヘンリーの短編小説でも読んでみてはいかがでしょうか?

「賢者の贈り物」という、貧しい若い夫婦がお金のない中で、クリスマスプレゼントを贈り合う話があります。彼女は自慢の長い髪を切って売り、夫が大切にしている祖父から父、父から夫へと受け継がれた懐中時計の鎖を買う。彼は彼で、その大切な懐中時計を質に入れ、妻がほしがっていた鼈甲の櫛を買うという物語です。O.ヘンリーはこの話を「 二人は愚かなことに、家の最もすばらしい宝物を互いのために台無しにしてしまったのです。 しかしながら、今日の賢者たちへの最後の言葉として、こう言わせていただきましょう。 贈り物をするすべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。 贈り物をやりとりするすべての人の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです」と結んでいます。

どんな恋愛をするかは人それぞれ。何を幸福に感じるかということも、一人ひとり違います。あなたがどんな恋愛を目指すのか、いろいろな恋愛の形を学んでみるのも、いいことだと思いますよ。

第17回

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