【夫婦編】「それは家事の手伝いじゃないでしょ?!」

【Q】
夫とは結婚10年目です。6年前出産を機に、私は一旦仕事を辞め、子育てに専念していたのですが、昨年2人目の子どもが幼稚園に入園したので、パートですけど仕事に出始めました。夫は家事を手伝ってくれると言って料理をするのですが、どうもいろいろな人に料理ができるということを自慢したいらしく、やたらと珍しい調味料を揃えたり、包丁を何本も揃えたりしては、知り合いを集めてホームパーティーをしたがります。先日は、そのホームパーティーの準備と称し、100g800円もする牛肉を500gも買ってきてローストビーフを作るし、七面鳥を買ってきて3時間もかけてオーブンで調理していました。結局食べきれず、半分くらい捨てる羽目になったのですが、「夫は準備だから仕方ないよ」と平然と言うんです。家事の手伝いなんてとんでもない!結局夫が料理をしている間、子どもを見ているのは私。パーティーの時、夫の作る料理以外の接待はすべて私。家事を手伝うどころか私の負担が増えているだけです。もちろんお金もすごくかかります。こんなんだったら、ゴルフにでも行ってくれて、家にいない方がよほどましと思います。

【A】
「人には、5つの性格が備わっているが、その5つの性格のうちどれが重いかでその人の全体としての性格が決まる」と言ったのはエリック・バーンという心理学者です。バーンは性格をまず大きく3つに分けています。一人の人間の中にはどんな小さな子どもでも、逆にどんな高齢な方たちでも「親的な性格」(ペアレンツ)、「成人的な性格」(アダルト)、「子ども的な性格」(チャイルド)が混在していると言っています。
そしてそれらの頭文字を取って「P」「A」「C」と表記します。
さらに「P」(親的な性格)と「C」(子ども的な性格)はそれぞれ2つずつに分けられて、「CP」(「支配的親の性格」(コントロールペアレンツ))、「NP」(「養育的親の性格」(ネイチャーペアレンツ))、「FC」(「自由な子どもの性格」(フリーチャイルド))、「AC」(「びくびくおどおどする性格」(アダプテッドチャイルド))となります。
この5つの性格が、一人の人間の中に常に存在していると考えたのです。
その呼び方で、もう内容はおわかりと思いますが、「CP」は人をコントロールしようとする性格、「NP」は人に対し養育的に接しようとする性格、「A」は成人としてバランスの取れた理性的な考えをもって行動できる性格、「FC」は子どものように自由でのびのび何でも言ったり行動したりできる性格、「AC」は人の顔色をうかがいおどおどびくびくしてしまう小さな子どものような性格です。
これを「交流分析」と呼んでいて、5つの性格のうち、どの性格が重いかを測る「エゴグラム」という心理テストもあります。小さな子どもの中にも「NP」が強く、人の面倒を見るのが好きな子や、「A」が強く、大人顔負けのきちんとした理性的な判断をする子もいます。

前置きが長くなりました。
さて、あなたの夫ですが、「C」、特に「FC」(フリーチャイルド)の性格が強いようですね。自分が自慢したいための料理、ホームパーティーの準備、調味料や包丁の収集・・・。こういうパートナーとうまくやっていくためには、あなたの中にある5つの性格のうち「CP」(コントロールペアレンツ)の部分で夫を支配しようとしたり、「AC」(アダプテッドチャイルド)の部分でおどおどびくびくしたりするのではなく、「NP」(ネイチャーペアレンツ)の部分で、
「あらーっ、一流料理店のディナーより素晴らしい味だわ!」
とほめてあげたり、あなたも自身の「FC」の部分で茶目っ気たっぷりに
「わーっ、この七面鳥すごーい!私にも手伝わせて~!」
といったような関わり方を試してみてはいかがでしょうか。
相手の5つの性格のうち、どの部分が自分にとって不都合かを判断して、その部分と自分の5つの性格のどの部分で対応したらうまくいくのかを「分析」しながら接してみてください。
また、あなた自身は、「お金がかかるのに!」とか「結局負担は私!」とか「家事の手伝いになってない!」とか考えているところを見ると、相手を自分の思い通りに支配しようとする「CP」の部分が強いのかもしれません。そうすると夫の「FC」の部分とぶつかってうまく交流ができませんから、思い切ってあなたの持っている「FC」の部分を全開にして、夫以上に自由にのびのび夫の料理自慢を楽しんでみてはいかがですか?
もちろん、子どものこととか、後片付けのこととかを、子どもっぽく、
「やりたくなーい!」
と言って放っておくというのもありです。するとさすがに夫君も「A」の性格が頭を出して、ほどほどになるということもありますから・・・。
ぜひ、思い切って試してみてください。

第18回

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