【職場編】「過去のセクハラ事件のせいで・・・」

【Q】
大学卒業後、すぐ今の会社に就職しました。今年で25歳になります。大学では、同級生の男の子と付き合っていた時期もあるんですが、結婚にはちょっと頼りないというか、不安というか・・・。同級生って友達ならいいんだけれど、結婚は年上の方が・・・。彼は結婚を考えていたようで、私が「結婚する気はない」って言ったら、自然と別れることになりました。今の会社には5歳くらい年上の独身男性がけっこういて、声を掛けてくれれば付き合ってみたいなって思う人も数人います。ところが、数年前に社内で、年下の女子社員にセクハラで訴えられるという事件があって、結局和解はしたらしいんですけれど、年下の女子社員には声を掛けないという裏内部規定みたいなものがあって、食事に誘われることすらありません。職場結婚て、相手のこともよく分かるし、選び間違うことも少ないと思うので憧れているんですけど、その事件のせいで、なかなか仕事以外の関係が作れません。かといって、私から付き合ってくださいって言うほどときめく男性はいないし・・・

【A】
数年前のセクハラ事件が原因で社内で年下の女子社員には声を掛けないというかなり徹底した裏内部規定が出来上がっているみたいですね。このセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、男女雇用機会均等法11条で「職場において性的な言動がなされることにより労働者の就業環境が害されることのないよう事業主に配慮する」よう求めています。セクハラの定義はされていませんが、原則として性的な嫌がらせを受けた側の主観を基準に判断されます。
例えば、相手の身体に必要以上に触れる。無理やりデートに誘う。性行為を強要するといった典型的なものはもちろん、酒の席で酌をさせる、壁に水着やヌードのポスターを貼ることなども、そのことで気分を害する人がいればセクハラになります。他にも、「彼氏はいるの?」としばしば聞くことや、「いつ結婚するの?」「出産の予定は?」などと尋ねることなども入ります。もっと微妙な行為としては、部下の女性を「○○ちゃん」と呼んだだけでもセクハラになる可能性もあります。「○○さんて、スタイル抜群だね」のように、容姿について言及することも該当します。被害が受けた側の主観が決め手ですので、行為そのものが何であったかにより、すべて同様に判断されるわけではなく、ケースバイケースで判断されることになります。

数年前の事件の内容がどうであれ、会社のイメージダウンは避けられなかったでしょうから、事業主としては、必死で男性社員を教育したものと思われます。
あなたのおっしゃる通り、職場恋愛を経て、職場結婚というケースは、インターネットや結婚相談所での出会いが不透明な部分が多く不安があるのに比べ、その人の働きぶりや人柄といった結婚に最も重要な要素がよく分かる上、価値観の共有という点でも、一緒に過ごしている時間が多いので、「選び間違い」はしにくくなると思います。

あなたの会社のように「セクハラ」の解釈にちょっと行き違いが起きてしまうのは、性的に不快な行為を「そのくらいなら」と許してしまうと、限度をわきまえず平然と相手を傷つけてくる人間がいることや「性的に不快」という基準は一人ひとり微妙に違うので「それならば年下の女性社員には声を掛けるな!」という間違った不文律が出来上がってしまったのでしょう。これでは逆に法律の本質を見誤ってしまいますし、男女差別を助長しかねません。
今のところあなたの方から「付き合って」というほどときめく男性もいないとのことですが、向こうから声を掛けてくれれば付き合ってもいいと思う人は数人いるとおっしゃっていますので、思い切ってその方たちをご自分の方から、あるいは友達も一緒にお茶やお食事にでも誘ってみてはいかがでしょう。上司にも折に触れ、男女雇用機会均等法11条の主旨が、職場やキャンパスで女性も男性も気持ちよく仕事をしたり、学んだり出来ることにあることを訴えてみてください。

ただし、数は少ないですけれど、女性から男性への「セクハラ」も存在しますのでご注意を!

第21回

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