【恋愛編】「男のメンツなんて捨ててよ!」

【Q】
私は38歳、彼は40歳、結婚相談所で知り合いました。どちらも結婚経験はありません。私は20代のころ、もう少しで結婚というところまで行きましたけれど、最後のところで決心がつかず、結局彼に彼女ができてしまって・・・。その後は結婚を考えるほど真剣なお付き合いをすることもなく10年が経ってしまいました。今の彼とは1年近くお付き合いしています。結婚相談所ですから、彼の収入や趣味なども分かります。結婚を意識したお付き合いなので、知り合って半年くらい経ったころから、将来の話をするようになりました。お互いにそれなりの蓄えがありますので、一戸建ての家を購入しようということになったのですが、私は親からお金を借りてでもちゃんとした家をと思いました。ところが彼は、自分たちのお金だけでと言うんです。どちらも一人っ子だし、将来は親の財産も相続することになるんだからと言ったんですが、彼は「僕だって男だから、嫁の両親に出してもらうわけにはいかない」って言うんです。

【A】
私のカウンセリング研究所でも「恋人や夫が私の気持ちを分かってくれない」「彼女が(妻が)自分の性を理解してくれない」から始まって「夫婦の家事分担」や「夫が子育ての手伝いをしない」「自分はバイセクシュアル」、セクハラ、性虐待の問題に至るまで、男女の問題のご相談は後を絶ちません。

時には結婚して半年のご夫婦がお二人でいらっしゃって、私の前で「だから結婚式は延ばした方がいいと言ったでしょ!」「君の親戚で不幸があったなんて知らなかったんだから!」「私はちゃんと言った!」「聞いてない!」と喧嘩を始めるご夫婦もあります。
こんな風にとげとげしくなることが多い一方で、愛し合う男女がなんとか障害を乗り越えて二人で共に生きて行きたいと手に手を取り合ってご相談に見えるカップルもたくさんいらっしゃるのです。男女の間の対立と葛藤、そして愛さえあれば不可能なことも可能になるとまで思わせる男女の愛とはいったい何なんでしょう。今回のご相談者も家の購入を親の支援を得てもしたいという女性のあなたと「それは男のメンツが許さない」という男性の彼との対立です。

この地球上に生き物らしいものが出現したのはおよそ40億年前。その最初の生命は単細胞でした。この原始的な生き物に「性」が出現したと考えられるのはおよそ15億年ほど前。「性」の起源、それに伴う対立や結合はこんな大昔から始まっていたんですね。ところが、私たちが、あって当たり前のように思っている「男と女」の問題が科学として研究されたり生物の行動を分析して論じられるようになったのは、たかだかここ数十年くらいのことです。生物学的に見ると、私たちは男と女が対立、葛藤し合いながらも結びつく大きな要因の一つは、種の保存と繁栄と考えられますが、最近よく論じられるのは、強い種(自分の遺伝子)を残すためには、遺伝的に自分と距離の遠いパートナーに惹かれるということ。女性はなるべく自分と違う遺伝子を持つ男性を、男性はなるべく自分と違う遺伝子を持つ女性を選ぶということです。

ですから、ご相談者のあなたも、このコーナーを読んでくださっている読者の皆さんも、パートナーと意見が違ってぎくしゃくしたら、「ああ、自分はまったく違う遺伝子を持った相手だから惹かれたんだなあ」と考え、それでもなんとか話し合いを繰り返し、折り合いをつけていってください。特に女性は子どもを産み育てるという点からも「住むところ」には安心安全を求めますし、男性は「自分が女性と子どもを守る」という太古の概念が男のプライドとして根強く残っているので、対立と葛藤の争点となることが多いようです。メスとオス、女と男の本質を胸に置きながら一つひとつ乗り越えていいご夫婦になられることを祈ります。

お二人の意見の対立の背景には、お二人がこれまで育ってきたご家庭の考え方が大きな影響を与えていると考えられます。もし、お互いにいいところをたくさん認め合っていて、無事結婚にたどり着きたいとお考えでしたら、お互いのご両親を巻き込むような対立に発展させず、お二人のところでなんとか解決を図ってください。ご両親は、お二人の考えの元となる存在ですから、巻き込んだ時点で解けない対立になり、お二人のお気持ちとは別なところで結婚が壊れてしまう可能性大ですので。

第22回

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