【親子編】「息子に性は教えにくい・・・」

【Q】
小学6年生の娘と4年生の息子がいます。娘は昨年初潮を迎えたので、出産と性について丁寧に話をしました。子どもでもパソコンやスマートフォンなどから、簡単に性についての情報を手に入れられる時代なので、放っておくわけにはいかないと思ったからです。息子の方は、どうも私からは話しづらいので夫に任せておいたところ、赤ちゃんはコウノトリが運んで来るだの、お母さんのお腹が真ん中から割れて生まれてくるだのわけのわからないことを教えているみたいなんです。先日「お母さんのお腹のどこが割れるの?」と本気で聞く息子にびっくりして、「割れるわけないでしょ!」とだけ言ってしまいました。最近、息子も自宅のパソコンをいじりだしましたし、そろそろきっちり話さないとと思うのですが、どうも息子には・・・。こんなこと父親の仕事だと思うのですが。

【A】
「コウノトリ」かあ、懐かしいですね。ロマンチックではありますが、「サンタさん」とは違って実害があるので、これはすぐ訂正してください。
ましてや「お母さんのお腹が真ん中から割れて生まれてくる」などというのはロマンにもならないばかりか、近い将来、本当のことがわかった時、親子の信頼関係を壊すことになりかねません。その上、親が隠したり嘘をついたりするのは「性」や「出産」は恥ずかしいこと、いやらしいことという誤った概念を持ってしまうことにもつながり、一生そこから抜けられなくなって、恋愛や性を大らかに楽しむことができなくなる恐れもあります。

私が高校の教師だった時、三者面談で「私はお母さんのお腹が割れると教わって、中学生まで信じていたけれど違った。それで友達に大笑いされた」という女生徒がいました。その生徒は、「お母さんに嘘をつかれたことで、出産や性をとても恥ずかしいと思い込み、今でも男の子を好きになっちゃいけないと思っていて、友達のように恋愛もできない」と泣きながら語っていました。

親が優しさや恥ずかしさから嘘をついたとしても、彼らはいつか違和感を覚えて、この非科学的な性教育に決別するのです。そして、このことを友達やいかがわしい雑誌などで生半可に知った時、本当にショックを受け、その後の恋愛や性に閉鎖的になったり、コソコソ、ビクビクする青春を送ることになってしまいます。

また、男の子には男親が教えるべきというのも、逆に差別的な考え方だと思います。娘さんに出産と性について丁寧に教えたのなら、その時一緒に息子さんにも聞かせて「お姉ちゃんや女の人の身体と自分の違いを認識し、決して月経や出産を忌まわしいものとして扱うのではなく、いたわることを教えて上げたらよかったと思います。すでに、「コウノトリ」や「桃太郎」のように「お腹が割れる」イメージが息子さんに定着していいるのなら、折角「どこが割れるの?」と聞いてくれたのですから、「ごめんね。お父さんがそんなふうに教えたのね。お母さん、びっくりして“割れるわけないでしょ”!」って言っちゃったけど、お姉ちゃんと君はね、お母さんのおしっことうんちの出る穴の真ん中にある赤ちゃんの通る道を抜けてきてんだよ」とできるだけ普通に、茶化したり深刻になったりせず教えて上げてください。

そして彼が、「へーっ、お母さん痛くなかったの?」とか「僕、苦しくなかったのかなあ?」とか聞いてきたりしたら、これもごく普通に「お母さんも赤ちゃんも大変だったけど、頑張って出てきてくれたんだよ。あなたが生まれてきて、みんなとっても嬉しかったよ」と答えて上げてください。

私の娘はちょうど4年生の時、「赤ちゃんの出てくる穴って今でもある?」と聞くので、「あるよ」と答えると「触りたい」と言うので、お風呂に一緒に入った時に触らせたという話を今すると、娘は「やだーっ、私そんなことしたんだ?!」と大笑いしています。娘は二児の母親です。

子どもたちは科学的にちゃんと性のことを教えて上げれば、小さければ小さいほど真っ直ぐ、素直に納得するものです。今からでもなんとか挽回してみてください。できるだけ早いほうがいいですよ!

第29回

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