【夫婦編】「真っ直ぐ向き合おうとしない夫」

【Q】
33歳、結婚して5年になります。子どもはほしいと思うんですがまだいません。夫と知り合ったのは、OL時代によく行ったパブでした。仕事をしてる時って、いろいろなストレスがあるので、仕事帰りに友達と飲みに行くことが多かったんです。夫もよく友達と飲みに来ていて、意気投合したっていうか・・・。夫婦として、仲がいいとも悪いとも・・・。でも、最近どうしても納得がいかないことがあるんです。それは、夫が私と真っ直ぐ向き合おうとしないこと。つい先日も些細なことで喧嘩になったんですけど、私が本気で怒ってると思うとすぐにお酒を出してきて飲み出すんです。そうなると、私の話をまともに聞こうとしない。子どもの話題でもそうです。そろそろ不妊治療も考えた方がいいんじゃないって言っても、そうだなとは言うけれど、そんな時もすぐお酒。ああ、まともに話をする気がないんだって・・・。真っ直ぐ向き合わない夫婦なんて、夫婦でいる意味がないと思います。

【A】
結婚して5年、夫婦として夫が真っ直ぐに向き合ってくれないという相談ですね。「男はなぜ結婚する」のか?と考えてみることにしましょう。なぜヒトの進化の過程で結婚という配偶形態が生まれたのか?という問いは「なぜ一人の女に何十年にもわたって資源を提供し続ける男たちが生まれたのか?」という疑問になります。もしヒトの子どもがオス、いえ男性の助けなしには育たないなら、その助けが必要な期間だけ一緒にいて、さっさと次の相手を探した方が自分の遺伝子をもった多くの子孫を残せるのになぜそうしないのかということです。ヒトの男性の妻子への献身度は、他の大部分の哺乳類のオスが子育てに参加しないのに比べ、例外的に高いと言えます。オスが子育てに参加する種は5%にも満たないのです。
なぜ?という疑問が湧きますが、1つの理由は献身の証しを示さないとセックスすることが難しく、従って自分の遺伝子をもったコピーを残すことができないということでしょう。女性にとってセックスすることは妊娠の可能性、そして9ヶ月のわたる妊娠期間、厳しい出産、さらに授乳を含む数年にわたる子育ての覚悟が必要なのです。今のような避妊手段のなかった昔のこと、これだけの大仕事をしなければならない私たち女性は、当然セックスをする前に男の献身の証しがほしいのです。そして男たちはあの手この手で献身度を示します。危険な狩りの結果手に入れた獲物を相手に差し出したり、安全な隠れ場所を提供したり・・・。女性はセックスだけ求める男ではなく自分や子どもを守ってくれる男かどうか時間をかけてじっくり見定めます。そしてそのテストに合格するため男たちは最大の献身の証しである永続的な配偶関係=結婚を約束することになるのです。

また、そうすることによって人間の女性だけは排卵期がハッキリわからず、妊娠可能な時期だけ発情して交尾する他のメスの種とは違うことも、「結婚」という形態の発生のもとだと言われています。排卵のサインを出さないヒトのメスを長期間独占しておくことにより、オス(男)生まれた子がほぼ自分の子だという証しを手に入れるための形が「結婚」ということでもあります。
科学が進歩してそういった結婚の原点の理由はなくなりました。だからこそ、ヒトの夫婦はしっかり向き合ってこそ夫婦。あなたのおっしゃる通りです。

行きつけのパブで知り合ったとのこと。当時はお二人ともストレスをお酒で解消していたわけですよね。あなたの夫は、それが今も続いているとあなたは感じている。それでは、あなたはどうでしょうか?様々な問題と真っ直ぐ向き合っていますか?もしかすると、夫から投げかけられた問題に真っ直ぐ向き合っていないのかもしれません。妻であるあなたも永遠の献身を相手にだけ求めるのではなく、彼から投げかけられた問題にあなたご自身が真っ直ぐ向き合っているかどうかの検証からはじめてみてください。

第33回

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