【恋愛編】「堅実で失敗を嫌う彼」

【Q】
今の彼とは、友達の紹介で知り合い、付き合い始めて1年です。野球で言うなら、攻撃より守備を固めて失点しないで勝つみたいなタイプ。いつだったか「失点がゼロなら、負けはないんだよ」って言ったことがありました。その通りですけどね。付き合い始めてから、土日のどちらかは絶対デートをしているし、平日でも食事を一緒にすることがあるので、相当な回数会ってると思うんですけど、待ち合わせで私が待たされたことって一度もないんです。私だって結構早く行ったことあるんですよ。でも、必ず彼が待ってる。いつだったか「どれくらい前に来てるの?」って聞いたら「今、来たとこ」って。そんなわけないのに・・・。それと、朝と晩に毎日メールが来るんです。それも5分の狂いもなく。内容は、「おはよう」「おやすみ」くらいのたわいもないことです。最初は誠実で優しい人だなって思ってたんですけど、さすがにちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきました。

【A】
面白くないですよねえ、こういう人。いるんですけどね、けっこう。野球だって敬遠のフォアボールで打者を歩かせちゃったり、ちまちま勝つための作戦を使う監督のチームとか面白くないです。そういう試合運びをする監督は、勝ってるのに観客動員がうまくいかず監督解任なんてなっちゃったりしてね。やっぱり長嶋野球ですよね(笑)

人間失敗してもいいですから、精一杯逃げずに戦ってほしい。生物の中で失敗が許されているのは人類だけなんですから。他の動物は、失敗は「死」を意味します。失敗するやつは生き残れない、失敗しないやつだけが生き延びる。結果、失敗しないやつの遺伝子だけが受け継がれ、ますます失敗しなくなる。ちょっと冒険してみようか?なんて考えるやつの遺伝子は伝わらないんです。渡り鳥だって、いつも行く島は面白くないから、別な島にしてみようかな?なんて考えて、別の島へ飛んでいけば、ほとんど死が待っている。よほど運がよくなければ生き残れない。うまく生き残ったとしても、種の保存は難しい。先祖代々やってきたことを踏襲する以外に種を継続することが難しいのが人間以外の動物なんです。私たち人間だけは、選択が許され、万一その選択に失敗したとしても、100%死が待っているわけではありません。むしろその反対に「失敗は成功の母」という諺さえあるくらいです。ノーベル賞を受賞した科学者たちの多くが、実験の失敗の結果生じた化学反応などからノーベル賞に結びつく結果にたどり着いたと発言していることからもわかる通りです。こういう失敗の数々を重ねて動物の中で唯一「人」という種だけが文明や科学を限りなく発展させてきているのです。

長々と書きましたが、要するに、今あなたが「何かちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきた」その感覚は当たり前なんです。まさに彼は「人」という種の本質であるところの「選択し、失敗を繰り返しながら進化を遂げていく」という特性を持っていないということになるからです。もっとはっきり言うなら「おまえは人間かぁ?!」ということなんです!

朝晩の5分の狂いもないメール、一度も待たされたことのないデートは、はじめは確かに誠実な生き方に映るかもしれません。でも、たった一度きりの人生。こんな風に判で押したような毎日の繰り返しで生きていきたくありませんよね。起こるはずのことが起こらなかったり、起こるはずのないことが起こったり、それの連続が「人生」というもの。そのとき2人で力を合わせて臨機応変に対応しながら生きていく。それが人生の面白みではないですか。
1年で違和感を感じたあなた。彼はあなた向きの人ではなかったようですね!

第42回

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