【夫婦編】「理屈で私を言い負かす夫」

【Q】
夫とは大学の資格試験受験のためのサークルで知り合いました。彼(夫)は2年先輩で、リーダー的存在。女子学生のあこがれの的でした。サークルでは、論文を読み合ったり、議論したり・・・。彼の話はいつも明快で、的確。「こんなに頭のいい人がいるんだぁ?!」と思いました。知り合って1年が過ぎたころ、彼の方から声をかけてくれて、ドライブに行きました。運転もうまいし、連れて行ってくれるところも完璧。器用っていうんですかねえ。彼は資格試験に一発合格、私の卒業を待ってすぐ結婚しました。とにかく彼は誰から見ても完璧なんです。もちろん私から見てもです。でも、けんかをすると絶対折れません。すごい勢いで理屈を言い、私が反論できなくなるまで言いつのるんです。夫婦って、そんな関係じゃないですよね。私はいたわり合うのが夫婦だと思うんですが、夫は私に勝たないと気がすまないんです。ちょっと疲れました・・・

【A】
オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という短編、若い夫婦の物語です。貧しい二人がクリスマスにそれぞれが相手に贈り物をしようと考えるんですが、なんとしてもお金が足りない。妻は夫に懐中時計の鎖を買ってあげたいと考えている。その時計は夫の父の形見だけれど鎖がなかった。夫は妻に、長く美しい髪をとめる髪飾りを買ってあげたいと思っていた。クリスマスの日、二人はお互いへの想いを込めて妻は夫に時計の鎖を、夫は妻に髪飾りをプレゼントした。その資金となったのは、それぞれが大切に思っていたもの。そう、妻は自らの髪を売り、夫は父の形見の時計を売って相手が喜ぶであろう品物を手に入れたのです。

時計のない夫への「時計の鎖」のプレゼント、髪の短くなってしまった妻への「長い髪をとめる髪飾り」のプレゼント。
あなたはこの短編を読んだことがおありですか?
夫婦とか恋人とかというものの基本が「愛」に基づいて構築される関係というあなた。夫婦の関係はあなたのおっしゃる通り「いたわり合い」や「思いやり」、得とか損とかを超越したところ関係のはず。でもあなたが彼を選択した基準は、「頭がいい」「リーダー的存在」「女子学生のあこがれの的」「運転もうまい」「器用」「資格試験一発合格」etc.。とすれば、彼を選択した時点で、お互いにいたわり合いとか思いやりとかは、ほぼ放棄したものも同然だったのです。ここまで完璧な男性が、夫婦げんかで理屈の合わないことで納得するはずはありません。正しいと思ったことは、絶対に正しいと主張するに違いありません。それがあなたにとって魅力だったのですから。でも夫婦って、あなたのおっしゃる通り「正しいか正しくないか」ではないんですよね。たとえ理論的、科学的には間違っているにしても、「そうかぁ、君はそう思うんだね」「あなたはそう感じるんだね」というふうに言い合いたいですよね。

疲れたあなたに提案です。
カウンセリング技法の1つに「役割交換法」というのがあります。人の立場が理解できなず悩んでいるときにお勧めしている方法で、あなたの場合なら、「妻が夫の」「夫が妻の」立場に役割を変えて演じてみる方法です。夫は協力してくれないかもしれないので、空の椅子を置き、そこにあなたが座っていると思って、夫の役になったあなたが空の椅子に向かって声に出して語りかけてみてください。これをエンプティチェア法と言います。きっと夫が言いつのる原因が「私にもある」ことに気づいていただけることと期待します。

夫婦の関係はどちらか1人で築くものではないはず。夫がすごい勢いで理屈を言う前にあなたが起爆剤を仕掛けているかもしれません。それに気づけば、頭のいい夫さんのこと、きっとすぐ理屈で言い負かすのではなく、優しい言葉をかけてくれるようになると思います。

第43回

ページ上部へ