【親子編】「娘の選ぶ服は男の子用」

Q.小学6年生の息子と小学4年生の娘がいます。兄妹で仲がよく、小さいころからよく一緒に遊んでいました。小学校に上がってからも娘は同級生と遊ぶより、息子と一緒に息子の同級生と遊んでいます。先日、娘と洋服を買いに行きました。私があれこれ選んで娘に見せると、全く気に入らないらしく、「そんなの着たくない!」と完全拒否。何着選んでも、そんな繰り返しなので、「自分で選べば!」と娘に任せたところ、娘が向かったのは、男児用の売り場。そして躊躇なく男児用の服を選んで「これがいい!」というのです。「それは男の子用でしょ!」と言っても、「だってこのほうが着やすいもん」と譲りません。小学校低学年の子ならともかく、さすがに4年生ではちょっと…。今度は私が完全拒否。「女の子なんだから女の子の服を選びなさい!」と私が言うと、娘は「じゃあいらない!」と言って、結局買わないで帰る羽目に。女の子なんだから、女の子らしくしてほしいのですが…。

A.【職場編】「媚びを売る女に腹が立つ!」で述べた回答とちょっとかぶりますけれど…
「女の子は女らしく」私たちはどれだけ長い年月この言葉に苦しめられて生きてきたことでしょう。その裏返しはもちろん「男の子は男の子らしく」と言うことですよね。「女の子なんだからもっとおしとやかにしなさい!」とか「男の子なら泣くんじゃない!」とか…。よく考えてみると、意味わかんないって感じですかね。全く根拠が分かりません。
あなたの中に「女の子らしい服」=「フリフリやリボンなんかが付いていてかわいらしい」「ピンクとか黄色とかの明るい色」というような枠がしっかりできあがってませんか?

買い物に行くと「女児用」の服売り場はまるでお花畑のようで「男児用」の服売り場と遠くから見てもすぐ見分けがつきますよね。そして服をよく観察してみると、女の子用はボタンやホックが多く機能的にはできていません。機能よりかわいらしさを優先させてあります。実は私がよく着る服にもまさにそのようなのがあります。服全体にギャザーの入ったふんわりしたロングのワンピースなので、首の方から足を入れて肩まで持ってきたところで腕を通す。たったそれだけなので着やすいのですが、問題はそこから。まず首の後ろ側から背中にかけて30センチくらいのファスナーがある。もちろん上部にはフォック。これくらいならまだいいのですが、そのファスナーを隠すようにひらひらの飾り布が左右から2枚付いていて、ちょうどファスナーの上に来るところにボタンが5個付いている。しかも、玉のようなボタンで、ボタンの穴は紐状になっている。よほど身体の柔らかい人でないと腕を背中に回せないので、1人で着るのは無理。ボタンまできっちりするには人の手を借りることになります。いつも夫に手伝ってもらって夫婦円満?みたいな…(笑)
スカートとズボンなんていうのもまさに機能の問題を含んでいますよね。

スカートをはいた女の子は木登りや鉄棒、ジャングルジムはできません。女の子は活動的に動き回ることを禁じられていた長い歴史の遺産そのものなのです。女の子が「女の子らしい」かわいくて機能的でない服を着て、要するに「おとなしく」していなければならないとき、男の子は「男らしく」機能的で渋めな色の服を着て活発で元気で強くなければなりません。第41回でも述べたシンデレラや白雪姫の図式が現在に通じている典型ですね。娘さんは、きっと個性的で仕事のできるキャリアウーマンになることでしょう。芽を摘まず、彼女が選ぶ男児用の服を買ってあげてください。そして母親である私たちも、もう男女差別の再生産をするのをやめましょう。何百年もの昔ならいざ知らず、今は便利な家電もでき、法律さえも私たち女性を後押ししてくれています。「女は家庭で家事育児」「男は外で企業戦士」という方程式はもうやめにして、女の子でも活発に生きたい子はそのように、男の子でも家事や育児がしたい子はそのように生きられる世の中にしませんか?

あと2~3年すると娘さんは思春期を迎え、ちょっと状況が変わるかもしれません。どういう状況が訪れたとしても、娘さんが自分らしく生きられるよう支えてあげてくださいね。

第44回

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