【恋愛編】「愛情には束縛はつきものですよね」

【Q】
彼とは付き合い始めて2年になります。とても優しい人なんですが、不安になることがあります。
彼って、私を束縛しようとしないんです。私も束縛されるのは嫌なんですけど、彼の場合それが極端ていうか…。何度部屋の前まで送ってもらっても、彼は絶対部屋に上がろうとしないんです。いつも扉の前で「じゃあ」で終わりなんです。

買い物を頼んだこともあったんですけど、そういうときでも、絶対ピンポンは鳴らさずに、まず「あと10分くらいで着くよ」とメールが来ます。そのあと着く寸前に「もう着くよ」っていうメール。
そして、最後は「今、玄関のドアノブにかけておいたから」というメール。もちろん私がピンポン鳴らしてといえば別ですが、そうでない限り、顔も見ずに帰っちゃうんです。「何で?別にいんだよ」って言ってみたことがあるんですけど、彼は「君には君の生活があるだろ。君の生活の邪魔はしたくないから」って言うんです。

そんなふうに私のことを大事に思ってくれてるんだとも思ったんですけど、それって、僕のことも束縛するなよっていうメッセージにも取れるし、愛情がないっていうふうにも取れますよね。愛には多少の束縛は必要だし、私はそういうものがあって愛を感じられるんだと思うんです。

【A】
あなたも一度「束縛愛」というものを体験したらきっと、「もう絶イヤッ!」って思います。「愛には束縛がつきもの」なんて、やられたことのない人の台詞。「おまえは俺の彼女だよな? その携帯に入ってる男の名前、どういう関係のやつ?」なんていうことから「君は僕の妻だ!僕が君をどう扱おうと僕の勝手でしょ!」というDVの夫まで、「愛は束縛するもの」という思い込みと偏見がどれだけ私たち女性を人間扱いしていないかわかると思います。

究極は「疲れてるから今夜は無理」という妻や恋人を自分の欲望だけで、夜半にたたき起こし、性の相手をさせる男。もうここに至ってはレイプそのものです。さすがにそこまでは行かないにしても、夜遅くご機嫌で帰って、買ってきたおみやげをうまいから食べろと強要したり、月がきれいだから、外へ行って見てみろと「眠い」というパートナーを無理矢理引っ張り出そうとする男たちは、程度の差こそあれ同類項。妻や恋人が自分の思い通りにならないと怒鳴ったり、ものに当たったり、果ては殴る蹴るの行為に及ぶ、これらのDV行為は、皆「愛は束縛」という意識の表れです。

あなたは「多少の束縛」とおっしゃっているので、前述のような束縛がいいとは思っていない。でも、2年もの間、いつも部屋の前で「サヨナラ」、買い物は玄関のノブという彼の態度はどんなものだろう?そして、「君の生活の邪魔はしたくない」という、恋人同士にしては何とも不可解な(?)言葉。「多少の束縛」が愛の証と思っているあなたにとって、あまりの束縛のなさが愛への不安をかき立てるということですね。

まず、「愛する」ということと「束縛する」ということは、対局の考えだということを理解してください。そしてあなたの方から「部屋に上がって!」とか「泊まっていって!」とかしっかり意思表示をしてみてはいかがですか?「私がピンポン鳴らしてといえば別」とおっしゃっているのですから、意思表示をすることで、彼もそれなりの行動を取るのではないかと思います。あなたの方から誘うような形になるので、少し勇気がいるかもしれませんが、彼からあなたに嫌なことを強要するタイプではないようなので、あなたの中でここから先はまだダメという意識があるのなら、それ以上のことはしないはずです。
もし、それでも「上がらない、泊まらない」ということであれば、彼はあなたにあまり関心がない、あるいは関係をそれ以上縮めたくないと思っているのかもしれませんので、この交際は根本的に考えた方がいいかもしれませんね。

「束縛=愛」という方程式は全くの誤りですが、相手へのあまりの無関心さは「愛」とは対極とも言えます。あなたが心配しているように、彼はあなたとの関わりを深めることによる面倒くささを嫌っているだけのようにも映りますので、家庭での食事さえ一人で自由に食べたいという徹底した自由主義
者かもしれませんね。

パートナーと暮らすということは、それ自体お互いの人生に深く関わり合って多少邪魔し合ったり、助け合ったりしながら生きるということですから、彼は結婚という形を望んでいないのかもしれません。
ぜひ、あなたの方から意思表示をして、彼との関係が進展するように努めてみてください。もし、何も進展しないようなら、当然のことながら別れることも選択肢ですね。

第52回

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