【Q】
夫は4月に課長に昇進しました。すごく喜んでいたんですけど、最近、夫の帰りが遅くなり、日付が変わることもあります。
管理職って大変だなあと思っていたんですが、あるとき帰宅した夫から香水の匂いがしたんです。最初は、満員電車の中で付くこともあるし、どこかの飲み屋で付くことだってないわけじゃないなんて思っていたんですが、だんだんそれが頻繁になり、しかもいつも同じ匂いだって気づいたんです。
そしてついに、夫のスーツから名刺が…。店名や源氏名からするとどうやらキャバクラ。夫に問いただすと、管理職になると社内だけでなく社外の人との付き合いも増えて、キャバクラで接待することもあるって言うんです。
そうかもしれないけど、いつも同じ匂いなんておかしいと思いませんか。
私には、夫の言葉は苦し紛れの言い訳にしか聞こえないし、理由はどうあれ、香水の匂いを付けて帰宅するような接待なんて絶対許せません。
【A】
あなたは最後に「香水の匂いを付けて帰宅するような接待」を「絶対許せない」とおっしゃっています。
本音のところは「特定の女性と関係を持つ夫」を「絶対許せない」のですよね。
こういう情況がしばらく続くとどうしても感情的になり物事の後先が見えにくくなるのが人のさがです。ちょっと立ち止って自分の感情を整理してみましょう。
まず「絶対許せない」のは「こういう接待のやり方」なのか「こういうやり方をする夫」なのか?「接待のやり方」も「香水の匂い」をつけてこなければいいのか?
自分の心に聞いてみてください。自分の前に空の椅子を置いて、その椅子にあなた自身が座っていると思って「あなた!(自分の心に呼びかける)すごく怒っているけど、何にそんなに怒っているの?!」って声に出して聞いてみるといいでしょう。
そして次にその椅子ご自分が座ってみると「そうね~、えーと私が怒っているのは、接待のやり方とか香水の匂いとかではなくて、ある特定の女性と夫が親しくなっているらしいってことが不安で心配で怒っているのよ」という答えが自然に出てくると思います。
そうしたら又、その椅子から離れて「そうかぁ、そうなんだあ…。特定の女性と関係を持たれると、あんた捨てられちゃうかもしれないもんね。それで怒ってるんだね。で、絶対許せないって、許せないとどうするの?」と言ってみて、再び「怒っている私」の椅子に座ってみて下さい。
すると「ウーン、絶対許せない私。ウーン、何ができるんだろう。”絶対許せない”って夫に怒鳴る?つかみかかる? すると夫は”仕方ないだろう社外の人への接待だから”と言い訳をしつつ次からは、香水の匂いを焼き肉の匂いで消すためにその女性と焼き肉屋に行くか、ホテルで無香料の石けんを使って(うちの妻は匂いに敏感とわかったから)シャワーを浴びて帰る、なんていう自衛策をとる。
すると私は、夫ってそんな風に妻をだましてまでそういう女性と関係を持ちたいような男だったんだ!と…。だとしたら絶対許さなーい!もう離婚しかない!」そんな結論にたどりつくまでに5分とはかからないと思います。
このように自分の中の葛藤しているもう一人の自分と向き合って自分の本音を確かめるために空の椅子を置いて立場を変えてやり取りする方法を「エンプティチェア法」といいます。
さてそこで「離婚だあ!」となってみてやはりその前にやる事は、夫との関係性の見直しでしょうかねぇ。日本の男性の多くは、管理職になり接待費が自由に使えるようになると特定の女性と付き合うようになり、それを「男のカイショウ」みたいに考えるようですね。
経済的に自立してない女性は、簡単に離婚もできないので、悔しいけれど有効な手段がない。逆説的ですが日付が変わって帰ってきた夫を、「遅くまでお疲れ様!」とねぎらって(悔しくても“優しく”)、冷たい水やおしぼりでも用意して「今日の接待うまくいきましたか?」とでも声をかけて上げてください。
今ならきっと1週間位で帰りも早くなるはずです。
キャバクラの香水の女性より妻との時間を共有する方が、夫にとって居心地がいいことに気づいてもらいましょう。
第53回