【Q】
結婚して7年。35歳になりました。
外国映画とか観てるとよく出てきますよね、老夫婦が手をつないで散歩をしてるシーンとか普通にキスしてるシーンとか…。私が結婚に対して描いていたイメージって、そんなイメージ。
習慣が違うので、日本の男性にそんなこと期待しても無理なのはわかりますけれど、具体的に手をつなぐとかキスをするとかじゃなくて、年を取っても仲良くいられたらいいなみたいな…。
なのに、35歳ですでにセックスレス。夫にそんな話をすると「恋愛時代じゃあるまいし結婚して何年になると思ってるんだよ」と返ってきました。
もちろん夫婦って性の営みだけが大事なわけじゃないけれど、結婚してるからこそ性生活も大事だと思うんです。でも私からはなかなか切り出せないし、切り出したとしても夫から返ってくる言葉は「恋愛時代じゃあるまいし…」。このままの生活だとどんどん夫との距離が遠くなりそうです。
【A】
「性の営みだけが大事なわけじゃないけれど」ということですが、そもそも性の営みとは何なのでしょう?
「ヒト」の男を含むオスと「ヒト」の女を含むメスが有性生殖するようになった遙か昔に、自分の遺伝子を残すために行った行為なわけです、その前のバクテリアなどの単細胞生物は、自分の身体を二つに分裂させて増える無性生殖で子孫を増やしていました。
オスとメスの違いは、ヒトのようにペニスなどの外性器の違いで区別のつくものとサンマや鯖のように外見では区別がつきにくい生き物も多いのですが、単純に「精子」を作るのがオス、「卵子」を作るのがメスというのが生物学的な定義です。
その両者が精子と卵子を結合させるのに行う行為が性行為と定義してしまうと身も蓋もないわけですが、いろいろな有性生殖をする生き物の中で、ヒトだけは目的が子孫を残すためだけではなく「愛のコミュニケーション」のために行うようになって長い歴史があります。
今では大型類人猿の中でボノボという猿の種が自分の遺伝子を残すためだけではない愛と友情のしるしの性の営みをすることがわかってきましたが、ヒトほど回数は多くないようです。
そんなわけで、35歳のあなたがまだ結婚7年目にしてセックスレスというのはいかにも寂しすぎますよね。すでに子どもを持ち遺伝子を残していたとしても、むしろそれらがヒトがヒトの特色である性の営みを愛と友情のための手段として楽しめる時期なのではないかと私も思います。
あなたが言うように年を取っても仲のいい夫婦のイメージとして、手をつなぐとかキスをするとかのシーンが思い浮かびますが、日本の文化としては夫婦が人前でべたべたするのはみっともないという感覚があるので、そういった行為さえなかなか出来ない夫婦が多いようです。
男性が会社で歯車の一つとして働かされていて、妻との愛を確かめ合う余裕がないのもセックスレスの原因ということもありますし、男性の機能に問題がなく、マスターベーションでなら射精できるのに、妻との行為になると射精障害になったり、EDになってしまい性行為さえままならず悩んでいる夫婦もいます。夫婦の価値観や生育歴、文化・習慣の違いが心身の違いになって現れたりしています。
このまま夫婦の距離がどんどん遠くなってしまわないうちに、何が夫に「恋愛時代じゃあるまいし」と言わせているのか、夫の様子をよく観察、いえいえ見守ってあげたり、考えてみたりして、夫婦の価値観をお互いが寄り添うように工夫してみてはいかがでしょうか。
うれしい時や悲しい時に軽いハグをするくらいなら、あなたの方からでも出来るかな?
第63回