男と女のQ&A【親子編】「小学6年生の娘がダイエットを始めた?!」

【Q】
一月ほど前、小学6年生の娘が「将来の夢」という題の作文を書いていました。
何を書いたらいいか迷っていたので、いろいろ話を聞いてやったところ、「パティシエになりたい」と自分のイメージが湧いてきたようで、なぜパティシエになりたいと思ったか、どんなパティシエになりたいかといったことを一生懸命書いていました。
いろいろなことに興味がある子で夕飯のおかずを作ったり、お菓子を作ったり…。
誕生日のプレゼントにお菓子作りの道具をねだったりする子なので、気持ちが変わらないうちは応援してやろうと思っていました。ところが最近になって、急にお菓子作りをやめてしまったんです。
どうやら、好きな男の子が出来たらしく、ダイエットをすることにしたみたいなんです。
確かにやや太り気味なので、ある程度は痩せた方がいいとは思います。でもまだ6年生。
男の子にあまり興味を持たれても困るので、もう一度お菓子作りに興味を向けさせようとしているのですがうまくいきません。
 
【A】
お子さんはとても順調に「人」としての発達をし、成長しつつありますね。
母親の胎内に新たな生命が芽生えたその瞬間から、命は絶えず成長を始めます。
この世に生まれ出て死を迎えるそのときまで、人間は常に変化を続けるのです。
人間以外の動物のほとんどは、生後すぐに親と同じ状態になり、あとは成長せず死を迎えてしまうのに、人の場合は2歳くらいまで急速に成長したあと、成長がゆっくりにはなりますが、12~13歳頃になるとまた、著しい成長をみせます。この時期を「思春期」と呼び、この著しい成長を「思春期スパート」と名付けています。
 
お子さんはまさにこの時期に当たり、成長に「スパート」をかけていると思われます。
たぶん、不定期かもしれませんが月経も始まっていることでしょう。
この時期には身体的に急激に成長し、その変化に心がついて行けずいらいらしたり、自我、自意識が芽生えるので親に反抗したりして、周りを戸惑わせることもあります。
 
この時期の特徴の最大なものが「親や教師といった今まで頼っていた大人よりも友人との関係を大切にする」という点です。親や先生に頼らなくても一人で生きていける気分になり、大人の真似をしたり背伸びをした行動を取りたがり、親などの身近な大人に対しては反抗的になります。
今まで興味を持っていたことではなく、新しい作業や経験を好み、「自分てどんな子?」という内面からの問いが起こってもいます。同姓の友達と過ごす時間やおしゃべりすることを大切にするのもこの時期で、「相手からどう思われているか」「相手から良く思われたい」という思いも大きくなり、人からの評価も気になって、不安や喜びの感情の起伏が激しくなったりもします。
同性との仲良しグループの中で、異性への興味関心が話題になってもいきます。
 
お子さんの「将来の夢」が今までの「パティシエ」ではなくなり、お菓子作りや食べることをやめて自分の容姿や体重を気にかけるようになったのも、著しい発達の現れなのです。
「男の子にあまり興味を持たれても困る」とおっしゃっていますが、これも大変大事な発達段階の一つで、この時期に感じる幼い初恋は成熟した大人の恋愛が出来るようになる「恋のトレーニング」です。
 
今、何より大切な発達課題は「私って誰?」「自分とは何?」と自分に問いかけて、自我同一性と言われるアイデンティティの確立が、20歳くらいまでに出来ることです。
「将来の夢」の変化やささやかなダイエットを暖かく見守ってあげてください。
 
第69回

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