男と女のQ&A【親子編】「いつまで父親とお風呂に入るの?」

【Q】
中学1年生の娘がいます。一人っ子ということもあって、私も夫もとても大事に育ててきました。
厳しく叱ってしつけるというよりは、友達のような関係でお互いに信頼関係を築く中でいろいろ教えるというか…。ですから、私とも関係も良好ですし、父親とは私以上に仲のいい親子だと思います。
夫はほぼ定時に帰宅できる仕事ですので、私が夕飯の支度をしている間に娘をお風呂に入れるのが日課になっていました。
毎日一緒に入っているので二人とも何も感じないのかもしれませんが、さすがに娘も中学生。
胸も大きくなり始め、女の子らしくなってきました。5年生で月経が始まったタイミングとか、中学生になったタイミングとかでやめるのかと思っていたら、二人には全くその気配もなく中学1年生ももう終わりそうです。一度夫に話したこともあるのですが、「別にあいつが嫌がってないんだからいいんじゃないのか」と言われてしまいました。この先うまいタイミングも思い当たらず困っています。
 
【A】
娘さんとお母さん、娘さんとお父さんの関係はそれぞれ良好とのことですがご夫婦の関係は良好ですか?
月経もあり胸もふくらんでいる中学生の娘さんとお風呂に入ることを「別にあいつが嫌がってないんだから」と言われてしまう夫婦の関係はあまり良好とは思えません。
また娘さんが本当に父親とお風呂に入ることを嫌がっていないとしたら発達段階の上で滞りができているのかもしれません。
動物は本能的に種の保存能力ができた時をもって親からの独立、自立を感知し、親から離れていきます。又、親もその子を一個の個体と認めて巣から追い出します。
キタキツネの母がある日突然、成長した子どもたちを威嚇して巣穴に入れなくなり、はじめはビックリして戸惑う子ギツネたちも、母親の剣幕にスゴスゴと後ずさりながらそれぞれ自分の伴侶と巣穴を見つけに去っていく、あの「子別れ」の場面です。
 
人も当然、動物の一種ですからキタキツネほどはハッキリしていなくても、ゆっくり時間をかけて発達していき、種の保存が可能になる思春期、女の子であれば初潮のころ、男の子であれば精通が見られるころから親離れが始まります。
このころを反抗期と言って、多くの子ども達は抗らうようになります。ホルモンの分泌が盛んになり身体の急激な変化に心がついていけず、自分でもよくわけがわからずモヤモヤして、それを親にぶつけてくるので、親も戸惑うのがこの時期です。この時期を経て子ども達は大人に成長していきます。
 
精神分析学のフロイト博士流に言えば、子どもは幼児期にはそれぞれの異性親に恋心に近い愛情を抱くものではあるが、成長と共にそれは消失していくという学説です。
小さい子ども達が時々「お父さんのお嫁さんになって上げる」とか「お母さんと結婚して上げる」とか言い、同性親をライバル視したりすることもあります。これがいつまでも続くとエディプスコンプレックス、いわゆるマザコンと呼ばれ親からの内面的自立や時には身体的自立が滞る状態になります。
逆に急激に娘が父親のことを「くさい、きたない」などと顔をしかめたり、息子が母親のことを「うざい、うるさい、あっちいけ」などと暴言を吐き出し、親をビックリさせることがあるのもこの時期です。
 
あなたのご家族では心身の自立の時期を失してはいますが、今からでも生物本来の一対、即ち夫と妻が「カップル」であることを、夫と娘さんに感じてもらうようご夫婦が仲良くして、徐々にお風呂は妻と夫が一緒に入るようにでもできればいいですね。
第89回

ページ上部へ