男と女のQ&A【職場編】「夏場の社内は嫌い!」

【Q】
夏場の社内って嫌いなんです。体臭だかオーデコロンみたいな変な臭いが充満してるし、女子社員の格好も…。うちの会社ってけっこう人の出入りがあるから、そこそこ冷房は効いていて、じっとしてる女子社員は足が冷えないように机の下ではブランケットとかかけたりしてるんです。なのに、ほとんどの女子社員がノースリーブなんです。それってあり得なくないですか!
一応、薄手のカーディガンとかは持ってて、寒くなると羽織ったりしてるんですけど、前は開いてるでしょ。けっこう胸元が出てたりしてすごく気になるんです。「あんた、何しに会社に来てるんだ」って言ってやりたくなりますよ。
上司だって「仕事にふさわしい格好して来い」とか注意すればいいんです。ところがむしろ反対で、いっつも社員の胸元とか腕とか見ちゃったりして…。どっちもセクハラですよね、私は不快なんだから。
でも、上司が誰かに何かしているわけでもないし、他の女子社員は自分で好んでやってるわけだし、そんな中で私だけ「それってセクハラです」なんてとても言える雰囲気じゃないんです。
 
【A】
まったくあなたのおっしゃる通りで、夏場は社内に限らずエレベーターや電車の中でもこういう状況に出くわすことがけっこうありますよね。見たくないものを見せられたり、かぎたくない臭いをかがされたりすることって。
「セクハラ」とあなたが言っているセクシュアルハラスメントは2007年4月に改正された「男女雇用機会均等法」第11条に「事業主は職場において行われる性的な言動で当該労働者が不利益を受けたり就業環境が害されることのないよう適切な措置を講ずる」ことの必要性が義務として生じていると明記してあります。
改正前は「当該労働者」の文字が「女性労働者」となっていて、セクハラは男性から女性に行うものと限定されていましたが、改正により男女を問わず被害者、加害者になり得ることになりました。
裁判例などではかなり深刻な例もありますが、上司が「結婚はまだ?」とか「妊娠は?」などと聞くのも受け取る側の受け取り方によっては充分セクハラやモラハラになり得ます。
 
この連載でも何度か取り上げていますので、お読みいただいている皆さんはもうご存じのことと思いますが、職場の壁にヌードのカレンダーなどを貼ったりするのもセクハラになります。
あなたの場合、見たくない女性社員の胸とか腕とかが目の前にあるわけですから不快になる、男女機会均等法第11条の「就業環境が害される」に充分該当するケースと思います。もともとこの法律は、それまで男性から性的いやがらせや圧力をかけれられ、退職を余儀なくされたり、自殺にまで至ったりする女性を守るというのが基本精神でした。
今回のご相談は、そこまでのこととは思いませんが、もしどうしても不快感が止まらず、仕事の能率が落ちてしまう場合は、ある程度の規模の会社のようですので、社内にある相談窓口に苦情を申し述べることは出来ます。
 
この法律では、「迅速かつ適切な対応」を行い「行為者及び被害者に対する措置を適切に行う」よう定めてあります。さらには「相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずる」ことも決められていますので、原則的にはあなたのプライバシーも守られます。
 
ただ、女性社員の制服がないらしいあなたの会社で真夏にノースリーブの腕や襟の大きく開いている胸元を「見苦しいもの」「いやらしいもの」と感じるあなたの感覚こそ、本質的なセクシュアルハラスメントに当たらないか、あなたご自身が再考してから相談窓口に行くかどうか決めてくださいね。
第101回

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