男と女のQ&A【子親編】「私だけが孤立してしまって」

【Q】
結婚して2年になります。夫は一人っ子で大事に育てられたっていう印象の人で、乱暴なところのない優しい人です。あんまり我の強いところもないし、妻としては楽な夫ですね。よく周りからは「いいご主人ね」って言われます。
でもそれも良し悪しですよね、何でもお義父さんとお義母さんの言いなりなんですから。もちろん、お義父さんとお義母さんも、いい人なんですけど、細かいというか、お説教好きというか…。
結婚して間もないころから、顔を合わせる度に「夫婦は××であるべき」とか「××が夫婦生活のコツ」とか、まあとにかく私に教えてくれようとするんです。根本には、働いている私に対する文句っていうか、もっと妻らしく息子に尽くせっていうのもあるのかな?つい先日、私がちょっと自分の考えを話したら、義父とぶつかってしまって…。
それだけなら、大したことじゃないんですけど、私だけが孤立してしまって、お義父さん、お義母さん、夫の3人から責められているような構図になってしまって困っています。
 
【A】
何とも気分のよくない人間関係ですね。夫の両親も息子の妻にまで細かく、説教好きというのも問題ですが、最大の問題は夫がこの両親の言いなりだということです。
少年時代から両親に大事に育てられ、結婚した今でも夫としての責任ある行動が取れない。大人になりきれない成人の男性の心の病をアメリカのダン・カイリー博士は「ピーターパン症候群」という著書の中で、これは精神医学用語ではなく「誰でも持っている問題の一種である」と言っています。男性によく見られる症状で、ピーターパンの物語の窓から妖精のティンカーベルがやってきて、ネバーランドへ招待され、ネバーランドではいつまでも子どものまま大人になりきれないという話に基づいています。
特徴は、結婚したり子どもが生まれたりしても夫、父親として責任ある言動が取れず、無責任ですぐ他人へ責任転嫁する、妻や恋人に母親のような存在を求めるが人前ではプライドが高く男性らしく振る舞おうとする、さみしがり屋だが周りとの精神年齢に差があるため本当の友達ができにくい、ナルシストで男尊女卑の考えを持つ、などです。表面的には立派に見えるように振る舞うので、あなたも夫のことを「優しい人」「楽な夫」と言っていますし、周りからも「いいご主人」と言われていますね。
このピーターパン症候群は、病気ではなく20世紀初頭からメディアや政治動向が男尊女卑から男女平等へと向かう流れがあり、男の子の子たちの深刻な性役割の葛藤の中で出現したと考えられています。父親はしっかりした社会人で、母親は家事育児を問題なくこなす専業主婦、特に何不自由なく育った子どもの長男に多い傾向とされています。
改善するには、恋人や妻である女性が、ピーターパン物語の中の母親のように上手に世話を焼くウェンディのような役割を果たすのではなく、協力して一緒に冒険をする妖精ティンカーベルのように、時間とエネルギーをかけ、話をしていくしかありません。
義父母とやり合って摩擦を起こすのではなく、義父母とは適当な距離を置き、症状のチェックをしながら、年齢や立場相応の大人になってくれるよう支援してください。
お子さんがいないのであれば、離婚という選択もありますが、その場合、次の夫選びでもこのタイプを選択しないよう気をつけてください。
第110回

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