男と女のQ&A【夫婦編】「夫の子育てはすべてがふり」

 
【Q】
結婚して8年。5歳の息子がいます。夫も私も会社勤めなので、育児休業開けから子どもは保育園に預けています。夫は優しい人で、出産は立ち会い出産、子育てもそれなりに手伝ってはくれます。保育園の送り迎えや子どものお風呂も嫌がらずにしてくれますし、たまには子どもの食事を作ってくれることもあります。そんな夫をイクメンパパなんて思っていたんです、紙おむつのCMを見るまでは…。
CMは「子育てって長い、トンネルみたい」って始まるんです。「ほんと、ほんと」って見ていたら、「肩や腰が悲鳴を上げる~♪」「私の時間は、全部君の時間~♪」なんて続くんです。「…他のママが立派に見えて、もっといいママでいたいのに」なんだこの歌詞は!ママはどんどん追い込まれていっちゃって…。
そうだ、あのころは辛かった。トイレに行くのも大変、まともに食事をしたこともなかった。今だって…。そう思い出したら、夫はそんな苦労していないことに気づいちゃって…。結局、私は夫の優しいふりに騙されてた?夫はイクメンなんかじゃなくて、やっぱり私のワンオペだったんだ。そう思ったら、夫の行動のすべてがふりでしかないように感じて、腹が立ってきました。
 
【A】
「ワンオペ育児」。母親たちの間でそんな言葉が広まったのは昨年の暮れごろのこと。牛丼店などで従業員の一人がすべての業務を切り盛りすることを「ワンオペレーション」と言いますが、それが元になり使われ出した言葉です。育児や家事を一人で担い、破綻寸前の状況を指す言葉で、Twitterやブログで「ワンオペ育児、私のことだ!」と綴る人が増えました。
あなたは「夫の優しいふりに騙された?」と嘆いていますが、ちょっと古い調査ですが、2011年総務省の社会生活基本調査に家事関連の項目で、女性が家事育児に費やす1日の平均時間は3時間35分であるのに対し、男性はわずか42分となっています。これから見ても世の男性は騙すつもりではなく、これが実態のようです。
あなたは「夫は優しいふり、夫の行動のすべてがふりでしかないよう感じて」腹を立てていますが、私は「ふり」でもしてくれる方が「まだまし」とでも思わざるを得ない、という現状に腹が立ちます。
紙おむつのCMは「ママ達、大変でしょうが、紙おむつの助けを借りて、このワンオペ育児を乗り越えましょうね。子どもはこんなにも可愛いいから」と励ましています。ドラマ形式になっていて、けっこう長いですが、赤ちゃんとママの映像がほとんどで、パパの姿はほんの一瞬、映ったことも気づかない程度しか映りません。
4年前、2013年の厚生労働省の「夫の休日の家事に費やす時間と第2子以降の出生の割合」という興味深い調査があります。これによると、夫の休日の家事育児の時間が0(ゼロ)の場合は、第2子出産も0、2時間以内は29%、2~4時間だと56.1%、4~6時間に増えると72.1%の人が出生しています。さらに6時間以上になると80%の夫婦が第2子を設けています。
あなたのお宅も息子さんが5歳になるのに第2子がいないことから考えると、休日もあまり育児に時間を費やしていないようですね。息子さんがやっと5歳になり、少し育児に余裕が出て、夫の協力のなさに気づき、夫の行動すべてに不信感を抱いた今こそ夫婦の大切なとき。この気持ち、私に相談したこの思いを夫に語り、何とか共有してほしいのです。ここで、このまま放置すると第2子の出生はおろか、夫婦の共同生活さえも危うくなるかもしれません。
紙おむつのCMの話なら、あまりギスギスせずに話せませんか?
一日も早い夫婦の語り合いの時間を持つことをお勧めします。
第118回

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