男と女のQ&A【親子編】「えっ、先生に恋愛感情?」

 
【Q】
息子がこの春高校に入学しました。中学ではバスケットボール部に入っていて、県の大会にも出場して、一生懸命部活動に打ち込んでいたんです。それほど身長の高い方ではないけれど、高校ではバスケットボールを続けるものと思っていました。
入学当初は、バスケットボール部に入部して、「今度の試合に出ることになったよ。1年では僕1人なんだ」と張り切っていたんです。ところが、ちょっと前から、部屋にあったバスケットボール関係のものを整理しているので、「どうしたの?」と聞いてみると「バスケット部辞めて演劇部に入ることにしたんだ」って言うんです。
あんなにバスケットボールに夢中だったのに何かあったのかと心配したんですが、担任の女の先生が演劇部の顧問でとってもきれいな先生なんだって言っていたのを思い出したんです。
入学後のことを考えてみると、確かに話をするのは担任の話ばかりで、納得はいったんです。でも、あんなに打ち込んでいたバスケットボールを辞めてまで、演劇部に入部するなんて、まさかとは思いますが、もしも先生に対して恋愛感情でも持っていたらどうしようととても心配になりました。
 
【A】
先日、フランスではこれまでで最も若い39歳の大統領が誕生しました。彼の妻は24歳年上の元高校教師。彼の所属していた演劇部の顧問でもあり、国語(フランス語)の先生でもあります。彼の名前は、ご存じの通りエマニュエル・マクロン、妻の名前はブリジット。出会った当時、彼女は39歳、彼は15歳。現在彼女は64歳になるそうですが、見た目も性格も当時と変わらず、きれいでサバサバした雰囲気で意思表示をはっきりしそうな頭のいい女性という感じです。
マクロン大統領は、メディアの取材に次のようの語っています。
「私は、彼女に多大なる恩があるのです。彼女は、私が私であることを助けてくれた」と。当時、既婚者であったブリジットには3人の子どももあり、高校生が人妻を略奪などと驚いた人もいたでしょうが、アクロン大統領にとって「私が私であることを助けてくれた」という彼女はマクロンの心の支えだったのでしょう。悩み多き少年だったマクロン、それを支えたブリジット。多くは語っていませんが、2人は10年の歳月をかけて様々な困難を乗り越え結婚しました。
彼女の長男のセバスチャンは42歳。マクロンより3歳年上です。その下の長女、ローレンスは40歳で医師、次女、ティファニーは33歳で弁護士。そして、マクロンは7人の孫がいるおじいちゃんです。日本に比べ、はるかに恋愛の形に寛大と思われるフランスにおいても異例中の異例ということのようです。
翻って、あなたの息子さん。バスケットボール関係のものを整理して演劇部に入るとのこと。遠いフランスのマクロンとブリジットに刺激されたのにしろ、そうでないにしろ、息子さんの決めること。決めたことをそっと見守ってあげてください。「まさか恋愛感情?!」と母親が動揺しても思春期真っ只中の息子さんの気持ちを抑えることも曲げることも出来ません。ましてや反対でもしようものなら逆に火に油を注ぐようなもの。だいたいは一時の感情の表出として間もなく沈静化することでしょう。
でなければ、数少ない例ではありますが、マクロン夫妻や私夫婦(当時15歳だった担任した生徒と31歳で出会い、2人に子どもを連れて再婚して今に至っています)のように、息子さんが純愛を貫くのも、また彼の人生の選択に任せましょう。
第119回

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