男と女のQ&A【夫婦編】「お酒が入ると別人になる夫」

【Q】
女ばかりの同僚と飲みに行った居酒屋で声をかけられたことがきっかけで結婚しました。
夫は3歳年上の40歳、結婚して10年です。出会った時は、明るくて楽しい人と思ったんですが、二人きりでデートするようになってシャイで無口な人とわかりました。でもそこが誠実というかまじめな人に見えて、「結婚するならこういう人」と結婚したんです。ある程度は当たりかな?8歳の息子と5歳の娘がいるんですが、子どもに対してもあまり態度が変わりません。
ところがお酒が入ると別人になるんです。とにかくしゃべるしゃべる。それだけならいいんですけど、そのうち会社の愚痴が始まり、だんだん機嫌が悪くなって、最後は私に当たります。とにかくありとあらゆる言葉を使って罵るんですよ。酔っ払いとは言え、さすがに私だって腹が立ちます。
それが週に2、3回。以前は、外で飲んでくるよりはいいかと思っていたんですけど、最近そんな様子を子どもに見せたくないので、飲むのを止めてくれるか、外で飲んで子どもが寝た後帰ってきてほしいと思うようになりました。夫の態度次第では夫婦生活が続けられないかもしれないと感じ始めています。
 
【A】
いつもはこんな人じゃないのに、お酒が入ると別人になってしまうという人よくいますよね。お酒を飲むと心が開放されるのですが、「普段、口数が少ないのにお酒が入るととたんに饒舌になってしまう」という場合の事例があなたの夫ですね。
もともと、口べた、シャイで無口、自己主張に乏しいタイプの方がなりがちです。心が開放的になるとつい普段言えない鬱積した気持ちを吐き出そうとする心理が働きます。普段よりちょっとよくしゃべり陽気になる程度ならいいのですが、妻に当たり、あらゆる罵詈雑言を使って罵るというのは、今後結婚生活が続けられないと思って当然です。
人は普段、理性によって自分を抑制して生きています。本来の自分を理性によって隠し、人との付き合いを円満円滑に行おうとしています。お酒を飲む理性を司っている前頭葉の働きが鈍くなり、本来の自分が顔を出します。お酒を飲む量、飲むタイミング、飲む状況を自分でコントロールできなくなってしまった状態をアルコール依存症と呼びます。
もうこうなると本人の意志が弱いからと言うだけでなく、耐性ができて酔いにくい身体になり酒量も増え、今までの量では満足できず、飲み続けることになります。こうなってくると、お酒も麻薬や覚醒剤と同様の依存性薬物の一種となる生活習慣や人間関係が悪化し、仕事上でも失敗を犯すことが増えてきて、最悪の場合職を失うことにもなりかねません。
また、よくないことに日本文化では「お酒の上でのこと」は大目に見られ、「あの時はちょっと飲み過ぎちゃって」とか「ちょっとお酒が入っていたものだから」ですまされることも多かったのです。
お酒の歴史は、最も古いとされる果実酒は紀元前4000年ごろにメソポタミア地方のシュメール人によって飲まれ、その後同じくメソポタミアで紀元前3000年ごろには、ビールが造られていたという記録が残っています。ウイスキーや蒸留酒登場の最初の記録は、ずっと後の11世紀初め、イタリアの医師によって作られた医薬品用のアルコールだったそうです。日本酒は、奈良時代8世紀ごろ、祭礼や正月、慶事の時、神前へお供えし、それをいただくという風習でした。「酒は百薬の長」とも言われ、よい飲み方をすることで人間関係を円滑にし、健康にもよいとされています。
あなたの夫の場合は、妻はもちろん、子どもたちにも悪影響が出ていますので、お酒を止めてもらうよう厳しく話し、止めなければ離婚もやむなしとはっきりおっしゃってください。また、夫のひどい様子を動画に撮って、しらふの時に見せ、アルコール依存の治療も視野に入れた方がいいかもしれないと夫婦で相談してください。
第123回

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