男と女のQ&A【親子編】「娘の夢は銀行員」

【Q】
高校1年生の娘が、「銀行員になりたい」と言い出しました。私も、夫も猛反対。夫が娘に「おまえはどうして銀行員になりたいんだ?」と聞くと、娘は「銀行って、人の人生に直接影響を与えるところでしょ。例えば個人であれば財産の管理、相続とか投資とか…、会社であれば融資を通じて会社の存続に直接影響を与えてる。そういう人の運命を握ってるってすごいなって。だから私、支店長になって、自分の力で人を幸せにしてみたい」と言うんです。夫は、「女が銀行に勤めたって、窓口業務でこき使われるのが関の山。法人営業が女じゃ、相手の会社はなかなか信用してくれない。私は女の支店長なんて一人も知らないぞ。女なんだから、公務員、教員、看護師くらいを目標に勉強したらいいだろっ!」と強い調子で娘に話をしました。私も夫に同感です。
 
【A】
ぜひぜひ、娘さんの進路希望をご両親は応援してあげてください。私も、そして日本の社会全体で応援したいと思います。高校1年生でこれほどしっかりした目標、目的を持っているなら、必ず女性支店長になってくれると信じていますし、社会も皆で支えなければなりません。
現在、世界経済フォーラムが毎年発表する「グローバル・ジェンダーギャップ指数」男女平等ランキングで、2016年の調査対象144カ国のうち、日本は111位で、過去最低となりました。前年に比べると10位、10年前に比べると31位も順位を落としています。この「ジェンダーギャップ指数」は、政治、経済、教育、健康の4分野のデータをもとに男女格差を分析したものです。アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国が上位に来ています。5位にルワンダ、フィリピンが来てちょっと不思議に思うかもしれませんが、この指数は、男女差(ジェンダーギャップ)なので、男女の平均が共にまだ低くても、男女が不平等に扱われていなければ上位に来るわけです。逆に全体としては、この4分野では高い水準であっても、男女差が激しいと、アメリカは45位、イタリアは50位です。北欧を除くヨーロッパでは、男女が平等に扱われているドイツが13位です。
それと大きく離れて、中国99位、日本は111位、韓国116位。114カ国の調査対象国のうち、日本がなぜこんなに順位が低いのかというと、健康面ではほぼ平等、教育も大学進学率などはほぼ平等です。政府は、学ぶ分野で科学、テクノロジー、工学などで女性の数が少なく理科系女子(いわゆるリケジョ)を増やそうとしていますが、実はこれも近年それほど大きな差があるわけではありません。
大きく差が出るのは、政治や経済の分野です。政治では、国会議員、閣僚、首相はじめ地方の長の数は圧倒的に男性が多く、第3次安倍内閣においても20人の閣僚のうち女性はわずか3人でした。
あなたの娘さんが希望している経済の分野では、企業幹部(社長、取締役)に占める女性の数が少なく、ご両親が心配なさるのも分かりますが、現在「女性の登用が企業の利益にとってプラスになる」という考え方が政府はじめ各企業には強くあり、「女性枠」を設けているところもあります。これは単に数を増やせばいいという発想ではなく、女性の様々な視点(ダイバーシティ)があることで、新規事業の成否の判定がより的確になったり、不祥事を防ぐことが出来るなどの危機対応能力が高まることが証明されつつあることによるものです。
第129回

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