男と女のQ&A【親子編】「下着が見えることにも無頓着な娘」

【Q】
小学4年生の娘のことなんですが、先日懇談会のあと担任の先生に呼び止められ、「お子さんのことなんですが、下着が見えたりすることを全然気にしないんですよ。学校としても2年生くらいまでは、あまり意識をさせないようにはしているんですが、もう4年生なのでちょっとは気にしてほしいかな、と。社会の風潮はどちらかというと意識しすぎる傾向に進んでいてそれもどうかなとは思うんですが、まったく気にしないというのも…。いろいろ事件もありますし、子どもたちの中でも少し浮いてしまうというか…。」と言われてしまいました。
 
どうやらスパッツも履いてないのに平気で足を開いて体育座りをしたり、スカートをうちわ代わりにしたり、体操着に着替える時も、いきなりシャツを脱いでしまったり…。私が子どものころはそんな感じでおおらかだったように思うんですが、世の中が世の中ですし、娘と何度か話はしましたが全く聞く耳を持ちません。
 
【A】
「タブー・ゾーン」というのは、他人が触れてはいけない身体の部位のことです。私たちは一人ひとり身体のプライバシーについて考えがありますが、その考え方や感じ方は、人それぞれで、育った国の文化や習俗、そして人間関係などによって違います。
 
特に触れられる身体の部位によって様々で、もし友達が「手」という“人前に出せる部位”に触れるなら何の問題もないのですが、性器のような“プライベートな部位”に触れたりすると、不快感から怒りまで感じることになります。愛し合う2人か、赤ん坊を世話する親だけが、自由に相手の全身に触れることができますが、その他の人には身体の接触に関してタブーの階段があるのです。
 
タブー・ゾーンについては、体表面を12の部位に分け、①母親、②父親、③同性の友人、④異性の友人によってどの程度触れられてもいいかを尋ねたアメリカの研究もあります。その質問では、予想されたように、性的特徴に一番近い部位がもっとも強いタブーを示し、そこから離れるほどタブーは弱くなるという結果になっています。(ディズモンドモリス著 藤田統訳 マンウォッチングより)
 
日本の古代の性に関わる文化は、比較的おおらかで開放的。神話の中にも、弟の乱暴な行動に怒った姉の天照大神が岩戸に隠れ、世の中が真っ暗になって困り、岩戸の前で神が裸で踊り彼女を連れ出したという場面もあるほどですが、武士の台頭と共に男女差が厳しくなり、同時に性に対するタブー・ゾーンも強く意識されるようになっていきました。
 
特に最近、幼稚園児の年齢の子どもの中でも極度に性的特徴の身体部位を隠すことに固執する子がいるのは、、発達段階的に気がかりです。性的特徴が顕著になり始める第二次性徴期に自然に、女の子なら胸の膨らみを気にしだしたり、男の子ならペニスの形や大きさを気にしだしたりし始めるものです。女の子は初潮の始まる前、年齢的には5~6年生、体格のいいお子さんですと、あなたのお子さんと同じ4年生くらいからタブー・ゾーンを隠す自然な行動をします。
 
担任の先生が「浮いている」というほど程度がひどいのであれば、昨今子どもを狙った犯罪が多発し、心配でしょうから、性のこと、タブー・ゾーンのことなど、子ども向けの本も出ていますので、一緒に楽しみながら読んでみてはいかがでしょうか。あまり神経質にならず、あと半年ほど様子を見てもいいと思います。担任の先生のタブー・ゾーンに対する感覚の強弱もありますし、あなたのご家庭が割と開放的な人間関係でいるのかもしれませんので。
第139回

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