男と女のQ&A【恋愛編】「彼が私をつけてくる?!」

【Q】
うちの会社に週1くらいの頻度で営業に来る男性がいるんです。来始めて3ヶ月くらい経った頃、終業ぎりぎりの時間に来たことがあって、食事に誘われました。取引の業者さんと二人で食事っていいのかなあとは思ったんですけど、いい人そうだったから食事に行きました。その後、彼がうちの会社に来るのはいつも終業ぎりぎりになって、その度に食事に誘われるので、何度か食事に行きました。最初は私も「これって恋に発展するかも…」って思っていたんです。
 
ところがある日、私が自宅の最寄り駅で降りたら、彼に偶然会ったんですよ。会社からは電車で30分くらいかかる駅ですからそんなことってすごく低い確率ですよね。彼の家は全然違う方向って言っていたのでびっくりしました。彼が「営業できたんですけど、奇遇ですね」って言うので、「そんなことあるんですね」なんて返していたんですけど、その後、何度も彼が私の後をつけてきている気配を感じたんです。会社に営業に来た後食事に行くのは続いていたし、私も彼に惹かれるところもあったから、普通にデートに誘ってくれれば、もちろん付き合うのに、声もかけずにつけてくるようなことが何度もあると気持ち悪くて、早く別れた方がいいと思うようになりました。彼に直接聞いてみると「えっ、そんなことするわけないじゃない!」と言われてしまって。まだ証拠はないけれど、私は絶対彼がつけてきてると思うんです。
 
【A】
1999年10月28日にJR桶川駅前で女子大生が殺害された「桶川ストーカー殺人事件」がきっかけで、やっと「ストーカー規制法」が制定されました。この事件は、元交際相手の男を中心とする犯行グループから被害者がストーカー行為を受け続けた末、若い命を奪われたのです。当然、警察署へは被害届が出されていたのですが、大変遺憾なことに警察はこれを軽く見たためか、殺人を防ぐことができませんでした。警察署の不祥事として大きな問題になりました。とても悔しく悲しい事件です。
 
その後成立したストーカー規制法は次の8項目をストーカー行為として規制の対象にしています。
ア.つきまとい 待ち伏せ 押しかけ うろつき
イ.監視していると告げる行為
ウ.面会や交際の要求
エ.乱暴な言動
オ.無言電話 連続した電話 ファクシミリ 電子メール SNS
カ.汚物の送付
キ.名誉を傷つける
ク.性的羞恥心の侵害
 
この法律で“つきまとい”というのは、特定の人に対する恋愛感情、その他の行為の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の人、または家族に対して、つきまとう行為を指しています。
ストーカー行為をする人の特徴は、人格が未成熟で自己中心的、相手の立場に立って考えることができないタイプで相手を支配しようとします。ボーダーライン系(境界性人格障害)と呼んだりします。
また、ナルシスト系(自己愛性人格障害)は自信、自負心が強く拒絶したい相手にストーキングする者が多く「挫折愛タイプ」とも呼ばれます。その他、サイコパス系(反社会的人格障害)では、自分の感情、欲望を相手の感情とは無関係に一方的に押しつけるタイプで、性欲を満たすための道具として相手を支配するのが特徴です。
精神病系、パラノイド系など妄想によるつきまといもありますが、あなたの場合はボーダーライン系の感じがします。この場合、性格は外交的、社交的ですが、「孤独を避けるための必死の努力」をします。すべてのタイプに共通するのは相手の感情に想像力を働かせることができず、甘え、思い込み、欲求不満を攻撃に変えて解消するところです。
 
あなたは彼の熱心さに「これって恋に発展するかも…」と期待を寄せたわけですが、その後の「声もかけずについてくる」ようなことが何度もあったとのことですから、これはもう明らかにストーカー行為の「つきまとい」に当たります。これをやめさせるのはなかなか難しいのですが、「突然の関係遮断」は逆効果を呼ぶことが多いので、関係を断ち切るタイミングを誤らないようにしてください。嫌われようとする行為も被害を拡大して傷害事件につながることがあるので注意が必要です。信頼できる上司に相談することは大切ですが、この上司が正義感で直談判したりするのも相手を刺激してしまう場合が多く、やはりタイミングが大切です。もし、相手が攻撃的になってくるようであれば、即警察へ通報してください。
とにかく、自分の命を最優先に考え、警察に通報する勇気を持つことです。会社に営業に来る男性とのことですから、上司にも相談しつつ、少しずつ心身の距離を離していき、今のうちに関係を絶つようにしてください。
第147回

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