男と女のQ&A【職場編】上司に「生理かな?」声をかけられるのがすごく嫌です

【Q】
就職2年目です。それなりの規模の会社なので、同じ部署に女性が30人ほどいます。学生時代にはひどくなかった生理が就職してからひどくなり、生理の時にはつい顔をしかめるようになりました。私が辛そうにしていると周りの女子社員は「生理休暇取ったら?」と言ってくれますが、上司が男性なので言いにくく、取ったことがありませんでした。1年ほど前、話をするのも辛くなって休暇を申し出たんですが、上司は「わかりました」と言っただけで簡単に休暇を取らせてくれたので、“こんなんだったら、早く生理休暇を取ればよかった”と思ったんです。
 
ところがその後、生理が近くなると上司の方から「辛くなったら休暇を取ってもいいからね」と言ってくるようになったんです。気を遣ってくれるのはありがたいんですけど、私が顔をしかめたり、無愛想にしていると「生理かな?」と…。いつも生理のタイミングで言われるので、私の生理の日をメモしているみたいなんです。「生理休暇取ったら?」と言ってくれた女子社員の中に生理休暇を取る人は一人もいないし、結局私だけがすごく嫌な思いをしているんです。
 
【A】
「生理休暇」とは、生理痛などで働くことが困難な従業員の女性が、使用者に請求して休暇を請求できる制度で、医師の診断書などは不要です。働く女性を保護するため1947年に制定された労働基準法に盛り込まれました。ところが、この生理休暇を取得した人の割合は1%を割り、わずか0.9%に落ち込んだことが厚生労働省の調査でわかりました。
 
1965年には4人に1人が取得していたのに、2014年4月~2015年3月末までの間に生理休暇を1日でも請求した人の女性従業員の割合は、0.9%に下落しています。4人に1人が取得していた1965年度の26.2%をピークに1985年に9.2%、2004年には1.6%となり、最新の調査ではついに1%割れになってしまいました。
 
生理休暇を請求する人の激減には様々な理由が考えられますが、その1つは、休暇中の賃金を有給にするか、無給にするかは定めがなく、それぞれの企業に委ねられていることです。2015年の調査(一定規模以上の事業所)で、有給としている事業所は25.5%。2009年度には、42.8%の事業所が有給としていたので、半分近くに減っています。しかし、2015年の全国労働組合連合の7522人に対する実態調査では、約半数の女性が生理痛を抱え、そのうちの17.8%の女性が月経時に毎回鎮痛剤を服用すると回答し、31.8%の女性が時々服用すると回答しています。それでも生理休暇を取っていないと回答した女性が86.4%に上ります。
 
なぜこんなに取得率が低くなったのか厚生労働省の調査では触れられていませんが、無休の事業所が増えたことに加え、あなたのように上司から月経の日を予測されているようで「はずかしい」「生理であることを知られたくない」という人も多いようです。日本における「性の閉鎖性」も影響しています。また、男女雇用機会均等法により、生理休暇を取ることは男性との比較で不利と考える女性がいること、企業側の意識の中にも生理休暇を取るような女性は使いづらいといった意識が根強くあり、それが職場の雰囲気となり、休暇取得を妨げているということもあるでしょう。
 
全労連の調査で、生理休暇を取っていない人に取れない理由を聞くと、最も多いのは「人員の不足や仕事が多忙で職場の雰囲気として取りにくい」です。
 
あなたの場合、親切のつもりでかけてくる上司の言葉がかえって取りづらくしているわけですが、職場の女性の皆さんと話し合って、上司に改めてもらうよう申し入れてみてはどうでしょうか。今は、結婚や妊娠の予定を尋ねることもセクハラとして扱われ、やってはいけないこととなっていますので、上司の意識改革が必要ですね。
第151回

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