男と女のQ&A【恋愛編】「結婚相手は絶対彼じゃなきゃダメ?」

【Q】
彼とは、結婚相談所で知り合いました。たくさんいる男性の中から容姿や雰囲気、学歴、職業、年収などを見て相手選びをしてたんですけど、コーディネーターの方がピックアップしてくれた方何人かとお会いして、付き合うことにしたのが彼です。好みの雰囲気だし高収入なので何の不満もなく、そろそろ結婚というところまで来ています。
 
ところが、先日友人の結婚式で新郎新婦の様子を見ていたら、私たちの関係とあまりにも雰囲気が違うので愕然としました。その数日後、その友人とお茶をしたら、夫なしの人生なんて考えられないと話すんです。その時一緒にお茶していた別の友人も「わかるーっ!私もそう!」と。正直、私にはそういう気持ちが分からなくて…。彼を好きだし、愛しているとは思うんです。でも、絶対彼じゃなきゃダメかっていわれると…。結婚て、子どもを作って安定した生活が送れて、普通に幸せな家庭を築ければいいと思っていた私は、2人の話がショックでした。恋愛とか、結婚とか、そういう風じゃないと幸せじゃないですよね。彼との結婚をやめようか迷っています。
 
【A】
「結婚」という価値基準をどこに置くかということにつきると思います。すなわち、人生の価値基準、「自分の人生をどう生きるか」ということです。
 
あなたは「子どもを作って安定した生活が送れ、普通に幸せな家庭が築ければいい」と思っていたんですよね。だから、そもそも結婚相談所へ申し込み、コーディネーターがピックアップしてくれて付き合った人の中で「好みの雰囲気」と「高収入」という価値基準で結婚相手として彼を選びました。たぶん、彼は彼なりの価値基準、例えば、妻として料理や掃除、洗濯が上手で、優しくて夫を立ててくれて、子どもが生まれればいいお母さんで、昔で言う「良妻賢母」というような価値基準であなたを結婚相手に決めているのでしょう。
 
ところがお友達は、「夫なしの人生なんて考えられない」と言っている。もしかしたらお友達のお相手選びの価値基準は「安定した生活」や「高収入」より、「この人しかいない」という非常にシンプルな価値基準なんですね。もちろん、経済的には苦労することが分かっていたりしても、「私も頑張って働くからね」ということだったり、「子どもの保育園の送り迎えは僕がやるよ」という未来だったり、結婚前には、周囲から年の差のことで反対されたり、年老いた親の面倒を見ることになる立場だったりするのが分かっていたかもしれないし、学歴も相手の方が低かったり、職業も売れない小説家とか、勝てないプロゴルファーとかだったりと、あなたが選択基準にしたほぼすべてのことからは遠いかもしれません。
 
「ハイリスク、ハイリターン」というのも変ですが、要するにあなたのように整った環境から2人の結婚生活をスタートするのか、何もない真っ白、むしろ障害を2人で一つ一つ取り除いてスタートして、2人で幸せを作っていく結婚生活を選ぶのかということでしょう。
 
日本国憲法第24条には、「結婚は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とし、相互の協力により、維持されなければならない」とあり、続いて「配偶者の選択、財産権、住居の選定、その他、家族に関する事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とあります。
 
古来、日本の男女の出会いや交際は、わりと自由でおおらかで、五穀豊穣を祈ったり、取り入れの祭礼で男女が歌い踊る歌垣の慣習の中で、お互い気に入った同士が求愛求婚をしていました。武士の台頭や戦争によって、仲人が間に入る形式が行われるようになり、最近は、あなたのようにゼロからの出発でないお見合い結婚が1割弱、恋愛結婚が約9割となっています。ただ、離婚の割合は恋愛結婚で3組に1組が離婚するのに対して、お見合い結婚の場合は、1割程度だそうです。
 
ご自分の人生をどういう価値観で生きるか、じっくり考えてみてはどうでしょうか。
(文:大関洋子)
 
2019/03/07(木)
第156回【職場編】「お客さんに食事に誘われる」
【Q】
28歳、独身です。2年前から飲食店で接客の仕事をしています。半年くらい前から、週に何度もお見えになるお客さんがいるんですけど、何度も食事に誘われて困っています。10歳くらい年上かな?最初、週1回程度で来てたんですけど、1ヶ月くらいしたころ、「結婚してるの?」って聞かれたので「いいえ」って答えたら、そのあと来る回数が増えて、今は4回くらいかな…。来てくれるのは嬉しいんですけど、来る度に「一緒に食事しない?」って誘われるのはちょっと…。はじめは私も悪い気はしなかったんですけど、好みのタイプじゃないし、年も離れているので、毎回ってなると引きますよね。普通の飲食店なので、店長に話したんですけど「いいお客さんなんだから、それくらい我慢してよ。一度、食事に行ってみれば?」って…。飲食店の従業員とお客さんていう出会いもあると思いますけど、あのお客さんとはあり得ないし、従業員を守ってくれない店長ってどうなの!って思います。お店は気に入っているので辞めたくはありません。
 
【A】
「セクハラ」という言葉の持つ軽さのためか、セクシュアル・ハラスメントの被害の深刻さはあまり認識されていません。強制性交は物理的な暴力や脅迫などによる性関係の強要ですが、セクシュアル・ハラスメント、セクハラは、組織内の権力関係を背景にした性、もしくはそれに準ずることの強制です。今は、より広義に「それを拒絶するのが難しい立場にいる人に対して向けられる性的関心」までが含まれます。
 
まさにあなたの相談は、そのものズバリ。セクハラに当たります。あなたの勤めている飲食店に週4回も来て「一緒に食事しない?」と誘う。そしてそれを不快に感じたあなたが店長に話したところ、「いいお客さんなんだから、それくらい我慢してよ」と言われ、その上「一度、食事に行ってみれば?」と言うに至っては言語道断!
あなたの言っている通り、「従業員を守ってくれない店長ってどうなの!」です。そんな人が店長をやっているお店など、即刻辞めるようにとお答えしたいところです。あなたは「はじめは悪い気はしなかった。好みのタイプじゃない。年も離れている」とおっしゃっていますが、そう考えることは問題の本質から目をそらすことになりかねません。
 
あなたは「お店は辞めたくない」とおっしゃっていますので、店長の上司、たぶんあなたのお店では「社長」とか「オーナー」と呼んでいるのではないかと思いますが、「事業主」に申し出てください。
2007年4月1日施行の男女雇用機会均等法では、職場でセクハラが起きないよう雇用管理上必要な「措置」を取るよう「事業主」に義務づけられ、従来の「配慮義務」より厳しくなりました。是正指導に応じない場合は、刑法上の規定はないものの男女雇用機会均等法に違反しているとして、労働局が企業名を公表することになっています。
 
セクハラは、被害を訴える出ることが恥ずかしかったり、相談しにくかったりしますが、あなたもここで勇気を持って事業主、社長に相談してください。その際、何月何日何時ごろ、そのお客さんが来店して××と言われ、それを何月何日に店長に相談したところ××と言われた、と具体的にできるだけ細かく記したメモを持参してください。あるいは内容証明郵便で送ってください。
店長が事業主である場合は、男女雇用機会均等法違反である旨、記載された法律書などを見せて直接話してください。話す時は、恥ずかしがったり照れたりせず、毅然としてはっきり話すよう努力してください。親しい職場の友人などに同席してもらうのもいいでしょう。
第157回

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