男と女のQ&A【夫婦編】「他の男よりはマシと思うけど…」

【Q】
結婚して4年、2歳の娘がいます。私も仕事をしているので、娘を保育園に預けています。夫は比較的時間を作りやすい仕事なので、保育園の送迎をしてくれたり、娘のおむつを替えてくれたり、家事育児に協力してくれる方だと思います。
育児のことだけいえば、私より夫の方がいろいろと気づいてくれるので助かっています。
 
でも、夫は自分の考えを私に押しつけたり、理屈で言い負かそうとしたりするところがあるので、辛くなることがけっこうあるんです。つまらないことなんですよ。例えば娘に着せる洋服がこれじゃ暑いとか寒いとか、子どもにこういうものは食べさせない方がいいとか…。私がハンバーグを食べに行きたいと言ったら、「今、ダイエットしてるから外食はしないって言ってなかったっけ?!」って言われ、結局うちで食べたこともありました。そりゃ、ダイエットはしてるけど、疲れていて食事を作るのがおっくうな時もありますよね。
他の男よりはマシと思うので何とかやってますけど、このままだと限界が来ちゃうんじゃないかって不安です。
 
【A】
確かに、家事育児にかなり協力的なことから考えると「他の男よりはマシ」と思います。
 
「次世代育成支援対策推進法」に基づいて、地方自治体が実施している子育て支援は、少子化対策の一環であり、経済的支援、精神面の支援、そして職業と育児の両立支援の3つに分けられます。
 
ところが、このどれもが「母親を子育ての責任者とみなして」施策されています。父親に「育児休業の取得を義務づけ」たり、「残業や単身赴任をさせない」といった根本的な改革ではなく、子育て支援を小手先の「ママ支援」ですませようとしているのが感じられる施策です。法律が男性の子育てを支援しようとしていても、現実には子育てや家事労働全般は、圧倒的に女性によって担われています。
次世代育成支援対策推進法という法律は、平成15年に10年間の時限立法として成立施行され、平成26年の改正によって、さらに10年延長されました。実際には、いかに家事育児が女性の肩に重くのしかかっていて「子育ての責任者は母親」という現状であり、根本的改革が進んでいないかということでしょう。イクメンプロジェクトと呼ばれる男性の育児休業取得推進事業の男性の取得率は平成15年の0.7%、現在は5.14%と上昇傾向にはあるものの、利用する男性は少ない(内閣府男女共同参画局)状況です。
そのような中で、あなたの夫は「他の男よりはマシ」に家事育児を分担しているかのように夫本人も、あなたも思っているわけですが、「ハンバーグ食べに行きたい」と言ったあなたに対して返した言葉は「質の低い決めつけ」というか、妻であるあなたの本質を愛しているとは思えないような言い方です。あなたや子どものことを心から愛し、男女差別のない家庭、男女差別のない世の中を築こうとしている夫、男性の言葉とは思えません。
 
イクメンプロジェクトに乗って、妻、女性を大切にしている“ふり”をしているように思えます。
今は「家事育児に関わる男性がかっこいい」という風潮があるので、そういう“ふり”をしているに過ぎないのではないですか?
とはいえ、あなたの夫は「他の男」よりは優しくて、努力もしていますので、限界が来る前にしっかりあなたが「キレ」て、「このままでは私や子どもを愛しているとは思えない!」と怒ってみてはいかがでしょう。
頭では「男女差別」はいけないこと、家事育児は女性だけの役割ではないことが分かっている数少ない貴重な男性のように思います。きちっと話して教育(?)すれば、本物の「妻への愛」も育ってくると期待します。
第158回

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