男と女のQ&A【職場編】「女性として課長にはなったけれどただの外向けアピール?」

【Q】
今の会社に勤めて10年になります。先日、部長から「僕が君を課長に推薦したんで、近々人事から課長の辞令があると思う」と言われました。それから数日後、部長の言う通り課長の辞令がありました。同期の男性で課長はいないので、課長一番乗りです。結婚もしているし、子どももほしいと思っているので、いずれ産休と育休を取るだろうことは、部長はもちろん会社も分かっているので、思い切った人事をしてくれたととても嬉しく思いました。
ところが社内では、外向けのアピールのために女性課長を作ったともっぱらの噂で、そう言われてみると、他の課長の下には10人以上の部下がいるのに、私の下には3人しか部下がいません。しかも「女性政策課」という新しい課で、何をする課なのか全く指示がありません。これから課長として会社とどう向き合っていけばいいのかとても迷っています。
 
【A】
1985年に制定された男女差別を禁じる「男女雇用機会均等法」から30年近く経ってやっと2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が施行されました。それも何年も前から女性官僚たちが発案し、「女性が輝く社会」を目指して国会に提案していたものが何度も廃案の憂き目を見た末、やっと制定されたものです。
 
「女性活躍推進法」と呼ばれ、「男女雇用機会均等法」から一歩進んで職場での女性の活躍を目指し、企業に女性登用などの数値目標や行動計画の作成を義務づけています。その正式名称の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の示す通り、「働く女性の活躍を後押しします」という法律です。まさに今、あなたはこの法律を「絵に描いた餅」に終わらせることなく具現化されようとしています。
 
それがたとえ会社のイメージアップのための社外向けアピールだとしても、たとえ部下が3人しかいなくても、そしてその課の名称が今までなかった「女性政策課」という課であるとしても、揺るがずたじろがず、真っ向から辞令を受け取って、しっかり同期の中の先頭を走ってください。新しい課なので何をやったらいいか指示もないと言っていますが、それはすべてあなたに任されたということでしょう。
 
どう向き合ったらいいか分からないと弱音を吐いていらっしゃいますが、何十年、何百年という長い間、働く女性たち、働きたいと思っても働けなかった女性たち、そういう人たちや先輩たちが苦労して築いてきたものをあなた自身は苦労せず手にしたのですから、しっかり向き合ってください。
 
会社としては、出産、育児も考慮に入れてのモデルケースとしてあなたを登用、重用したのです。アンペイドワークと言われる育児、看護、介護のために、第一子出産を機に6割の女性が離職し、育児後、再就職する時はパートやアルバイトなどの非正規雇用が56.6%、それでも働きたくても働けない女性が300万人います。そして、女性管理職はたった1割しかいない現状の中での辞令です。
 
2018年のジェンダー指数は2017年の114位から少し上がって110位になりましたが、G7の中ではもちろん最下位。男女差別のないアイスランド、ノルウェー、スウェーデンに追いつくのは108年後とも言われます。女性管理職のモデルケースとしての不安はあるのは当然ですが、この歴史を踏まえ健闘をお願いします。そのためには夫の協力は必須ですね。
第161回

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