男と女のQ&A【恋愛編】「給料が私より少ない彼の気持ちが揺らいでしまって…」

【Q】
彼とは大学の理系学部の先輩後輩で、彼が2つ上です。私と彼との間では「私が卒業して就職したら結婚」ていうことで、ほぼ決まっていたんです。彼は、小さい会社ではあるけれど研究職、私は上場企業のエンジニアの卵ということで今年就職して、お互い希望通りの職に就くことができて、これで結婚って思ったんです。ところが、私の両親が彼の会社が中小企業で、就職して2年も経つのに、給料が私の7割にも満たないことで猛反対なんです。そんなこと分かっていたことなので、私も彼も乗り越えられると思っていたんです。なのに彼がついてこられなくなっちゃって…。別々に生活していると、彼の給料では余裕がなくて、食事に行っても遊びに行っても私がお金を出すことが多いし、私の両親の猛反対にあったことで彼がすっかり弱気になってしまって…。結婚すれば、生活も楽になるのに、彼は私に養われているみたいに感じるらしく、気持ちが揺らいでしまっています。
 
【A】
「彼の気持ちが揺らいでしまっています」とおっしゃっていますが、「揺らいでいる」のは、彼ではなくあなたではないですか?
彼の給料が私の給料の7割にも満たないことに「私の両親」が「猛反対」とも言っています。両親の猛反対にあったことで「彼がすっかり弱気になってしまって」とありますが、これも弱気になってしまったのはあなたですよね。その上、食事に行っても遊びに行っても私がお金を出すことが多い、と。親はもちろん、あなたの心が揺れる根底には「男は一家の大黒柱」「男が妻や子どもを稼いで養う」「男の給料は当然女より上」というジェンダーギャップの考えがあります。
 
確かに統計上は男女差が全くない国、アイスランドに日本が追いつくには100年以上かかると言われていますが、それでもギャップは僅かずつでも埋まりつつあります。1990年代には「主夫」という言葉も使われ、2000年の統計では、専業主夫が1万6千人、専業主婦が2万1千人と出ています。(国勢調査による)
 
「イクメン」などという言葉も普通に使われるようになって、男は外で仕事をし、女は家で家事育児が当然という固定概念が崩れてきました。その後、主夫の数は年々増加し、2005年には専業主夫2万1千人、兼業主夫3万人、2013年には、専業主夫の数が2.6倍になり、2015年には専業主夫世帯の割合が全体の5%。100世帯のうち5世帯は男性が外で働いて給料を取らず、家事育児をしていることになります。ここ5年で3倍も増加しました。
 
リーマンショックの影響もあるとは思いますが、2013年以降、緩やかに景気が回復しているにもかかわらず、専業主夫の割合が増えていることを考えると、必ずしもリーマンショックの影響とは言えません。「夫が失業したから」「夫が病弱だから」といったネガティブな理由だけでなく、「男が女、子どもを養う」という概念が薄れてきていると言えるでしょう。「男が女を養う」のではなく、「収入の多い方が少ない方を支える」という考えが根付きつつあります。
 
私の夫は、今から47年前、中学2年生の時の弁論大会で、「男尊女卑と女尊男卑」というタイトルで、「外で仕事、うちで家事」という役割は、本来性差ではなく、個の問題でなくてはならないと主張し、周りから非難を浴びたそうですが、その後実際にに専業主夫になり、社会に大きな影響を与えました。もしかすると、夫の出現がなければ、日本社会のジェンダーギャップは今よりはるかに遅れていたかもしれません。
 
アメリカを初めてする欧米諸国では、女性がトップにいる企業は珍しくなく、彼女たちは夫より高給を取っています。お互いに好きな仕事をしている、あるいは妻が社会進出を目指しているなど、それぞれの夫婦、家庭の事情で給料の高低を気にせず、幸せに暮らしている夫婦、家庭が増えています。どうぞ、まずあなたの根底にある「男と女」の役割を考え直してください。
第162回

ページ上部へ